参考になりそうな学習理論

Use a Learning Theory- Constructivism -

 「Constructivism」とは、「(社会)構成主義」と訳されます。Wikipediaによると、「学習者たちの中に既に存在している概念を前提に授業を組み立てる必要がある、という学習・教授理論」のようです。教員の役割は、グループ学習などを通じて学生が相互に刺激し合い、既存の知識を活用しながら新たな知を組み立てる(構成する)、その過程を手助けすることにあります。
 この動画は、「構成主義」の有用性と適用例を紹介しています。

 Tony先生は、「資源の維持と浪費」という単元で難しさを感じていました。生徒たちが主体的に学ぼうとしません。彼の授業は、生徒たちのコミュニケーションや協調的スキルを育成したり、批判的思考力や課題解決力を向上させるものではありませんでした。
 「構成主義」を使って教育方法の転換を図ってみては? 「構成主義」とは、

    • 「経験から意味を創ること」。これを「学び」と捉える学習理論です。
    • 生徒が問題や概念に向き合うとき、学ぶことはより意味のあるものになります。
    • その過程で生徒たちにアクティブな役割を担わせれば、生徒たちの主体的参加を促し、意欲を高めます。
    • 双方向的な方略を使い、意味のある文脈を創る。これによって、生徒自身の経験の上に知識が構築されます。
    • 構成主義は、高次の思考力(推論、課題解決)を教える際によく使われます。また、知識の転移を図りたいとき(つまり、その知識を新たな状況、別の状況で応用する力を身に付けさせたいとき)に使われます。
    • 教育方法の例として、歴史的事実を扱ったロールプレイやシミュレーション、意見が分かれる時事トピックを使った討議、協調的なグループ学習で的確な視点を獲得させる、現実の活動に参加させる(インターンシップなど)などがあります。

 Tony先生は、PBL(Problem Based Learning)を使うことにしました。現実の世界の問題に正解を導き出すことに挑戦させたのです。
 まず、生徒たちに「地球の資源を維持するために、どうしたら無駄を減らせるのか?」という問いを投げました。そして、生徒たちに次のような活動をさせました。生徒たちは、学習に熱中し、課題解決高次の思考協調的な活動に取り組みました。Tony先生は、生徒たちを主体的な学び手にする上で「構成主義」は有用だと感じました。
 課題解決力や批判的思考力を備えた人材を育成するため、「構成主義」を使ってみてはどうでしょう。

    1. 地域のリサイクル施設を訪ね、資源ごみやリサイクルの様子をじかに見て学ぶ。
    2. 自分たちの家庭で、毎日どのくらいのごみが捨てられているのか、記録する。
    3. グループで、さらなる研究を進める。本やインターネットで調査したり、地域や国の専門家へのインタビューを行ったり。
    4. そして、解決策の発表方法を決めさせる。例えば、本やスライドショーを作ったり、公共告知など。生徒たちは「家庭リサイクルの夕べ」というイベントで地域や家族に発表を行いました。


Active Learning

 この動画は、「学習ピラミッド」と「教育目標の分類体系」という2つの学習理論/モデルと関連付けながら、アクティブラーニングの役割を訴えたものです。

 デールの「学習ピラミッド(Dale's Pyramid of Learning)」とは、学習方法によって記憶の定着率に違いがある、ということを示した図です。以下のように、ある期間を経て、どの程度記憶が残っているのか、がパーセントで示されています。読んだり聞いたりするだけではほとんど頭に残っていません。一方、他者に教えるという活動をすると95%も残っています。
 この動画では、読んだり、聞いたり、視聴したりする学習法を「受け身の学習(Passive Learning)」と呼び、討論したり、体験したり、他者に教える学習法を「能動的な学習(Active Learning)」と呼んでいます。受け身の学習だけではなく、アクティブラーニングに取り組むべき、と主張しているようです。

    • 10%・・・読む
    • 20%・・・・・聞く
    • 50%・・・・・・・・・・・視聴する
    • 70%・・・・・・・・・・・・・・・討論する
    • 80%・・・・・・・・・・・・・・・・・実験する、体験する
    • 95%・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・他者に教える(Teach others)

 続いて、アクティブラーニングによる学びの成果を得るため、つまり、高次の思考力を開発する上で、ブルームによる「教育目標の分類体系」(Bloom's Taxonomy)を参照することの有用性を示しています。
 認知的領域に関する Bloom's Taxonomy は、以下のように、単に知識を記憶するという「低次の目標」から、分析、評価、創造するという「高次の目標」まで、6つの段階で学習目標(思考のレベル)を分類しています。(下記表記の左側はオリジナル版(Bloom's Taxonomy)、右側は改訂版(Revised Bloom's Taxonomy))

    • 評価/創造する
    • 統合/評価する
    • 分析/分析する
    • 応用/応用する
    • 理解/理解する
    • 知識/記憶する

 さらに、「学習ピラミッド」に示した学習法と「教育目標の分類体系」による認知レベルを次のように関連付け、よく学ぶための学習法を示しています。

    • 読んだり、聞いたり、視聴する−−−−→知識/記憶する
    • 視聴する−−−−−−−−−−−−−→知識/記憶する、理解する
    • 討論したり、体験したり他者に教える−−→応用する、分析する、評価する、創造する