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メールマガジン 『がくめっ!』 サイドストーリー

札幌学院大学が配信している『がくめっ!』というメールマガジンはご存知ですか?
入試情報や札幌学院大学のインフォメーション、また、キャンパスライフなどが分かる楽しいコラムをみなさんの元へお届けしています。
『がくめっ!サイドストーリー』では、メールマガジン『がくめっ!』と連動し、教員や学生などのインタビューを写真をまじえて紹介していきます。
今回は、7月24日(日)のオープンキャンパスの「ミニ講義」でも
講義される臨床心理学科の村澤和多里先生が登場。
今年の春からガクインに赴任されたフレッシュな先生です。

2011年7月15日号(第3号)臨床心理学科准教授 村澤和多里先生

臨床心理というよりも、社会臨床、臨床教育学と考えています。

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>まずは、先生の専門分野からお伺いしたいのですが?

村澤「『ひきこもり』など、社会的な背景をもつ心理的不適応について、心理や社会的メカニズムの分析と、支援方法について研究しています。また、被虐待児やネグレクト(育児放棄)された子どもたちの社会的自立についても研究課題にしています」

>現在の専門分野に携わることになったのは、どんなキッカケからだったのですか?

村澤「実は、自分自身を知るためにはじめた調査がキッカケでした。学生時代、勉強していてもどうやって社会に出て行けばいいのか不安だらけで、自分が煮え切らないことで悩んでいたんですね。そして、他の人たちはどうやって自立していくんだろうと、それが知りたくて。そして、卒論のテーマを『留年』ということに絞り、調査を始めました」

>ご自身のために行った研究がキッカケだったんですか?

村澤「はい。で、調査を始めて見ると、留年していた人の多くは答えが見いだせないままでした。そして、漠然とした不安を抱えていました。そこで、どうしたらそれらの解決策が見つかるのかということ知るために、青年期の心理を研究するようになりました」

>現在は、被虐待児やネグレクト(育児放棄)された子どもたちの社会的自立についての研究と実践を行っているようですね。個人的に感じることは、昔から虐待はあったと思うのですが、どうして今の方が大きな問題になっているのでしょうか?

村澤「昔から虐待があったかどうかは調べていないので分かりませんが、私の分かる範囲で言えることは、昔は体罰していても養育する機能を家族が持っていたけれど、現代ではその養育機能が崩壊しているのが問題なんですね」
>なるほど、良い悪いとかではなく、一応、養育していたわけですね。

村澤「さらに言えば、昔は「抑えつけていた」のですが、現代は「無視」してしまうんですね。つまり、適当に扱う、いないものとして扱うことです。表向きには抑圧されていないので、攻撃をどこに向けていいのかわからずに、そこから、空虚な気持ちになる。今の虐待の問題はそこにあります」

>それこそ、先生の研究の根底にある社会的背景が大きく影響しているような気がします。

村澤「そうですね。結果だけを見るのではなく、どうして無関心の構図が生まれてくるのか、社会的な構造を理解した上で、それをどう変えていくのかが、具体的な施策などを考えていくのが私のスタンスです」

>臨床心理に留まらず、社会学的なアプローチ、要素を多くもたれているという印象ですが。

村澤「私自身は臨床心理というよりも、社会臨床、臨床教育学と考えています」

自分作りをするための時間や空間を提供したいですね。

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>そんな先生が影響を受けた本があると伺ったのですが?

村澤「20歳ぐらいに読んだ精神科医のR.D.レインの『引き裂かれた自己』という本には強く影響を受けましたね」

>どんな内容の本なのでしょうか?

村澤「いわゆる精神病、精神病的と言われて「変な人たち」と思われていた人たちにも背景がある。背景を理解して体験することが分かれば、「変な人たち」ではなく、理解しあえるんだという内容です。精神医学に反対するようなスタンスです」

>この本のどういうところに共感されたんですか?

村澤「これまで『特殊な人たち』と思われていた精神病の人たちでも、しっかり寄り添えば、彼らの世界も見えてくる、という人間に対するやさしいまなざしです。マジョリティからみれば、マイノリティは理解しづらい部分もあるが、マイノリティの立場になって見ることが大切だということを教えてくれた一冊ですね」

>さて、青年期の心理を研究している立場として、今の大学生はどんなふうに映っていますか?

村澤「若者たちに余裕がないような気がします。なんか、役に立たないことをやらない、無駄なことはしないという傾向があるのが心配ですね」

>無駄なことをしないんですか?

村澤「その傾向はあると思います。大学時代は『モラトリアム(大人になるために必要で、社会的にも認められた猶予期間)』だということを認識して大学生活を送っていないような気がします。いかにバカなことをやって無駄なことをやるのかが大事だと思うので、それを踏まえた上で、大学生活を楽しんでほしいですけどね。資格を取得するにしても、単純に不安を持って「とりあえず資格」ではなく、目的を持つことが大事だと思います」

>どんな料理をしたいのかがないのに、とりあえず、包丁や鍋などを買いそろえるようなものでは、意味がないですからね(笑)

村澤「(笑)そういうことです」

>でも、シュウカツも早い時期から始まりますし、今の大学生も忙しいですよね。

村澤「そうなんですよ。ですから、この余裕のなさは若者の資質の問題だけではなく、社会的な構造の問題も大きく拘わっています。そういう意味では、時間的にも空間的にも自分作りをする機会がないので、私は少しでも自分づくりをするような場所と時間を提供したいと考えています」


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