経済学科

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【経済学科】経済学特別講義A(11月14日:第8回)

2014.11.20

お知らせ
経済学特別講義A(11月14日:第8回)
11月14日(金)の経済学特別講義(A)(3講時(13時10分から14時40分))において,北海道 二十 一 世紀総合研究所 調査部長の斉藤 正広氏がゲストスピーカとして講義をされました.
 
講義題目は,「北海道経済の現状と展望ー消費税率引き上げ後の道内経済の動向ー」でありました.2014年4月に実施された消費税率の8%への引き上げが北海道経済(企業・産業の生産,売上,営業利益などの経営動向)にどのような影響を与え,さらに,これからの道内経済がどのようになるかについて、データから見ることが本講義の目的でありました.講義の冒頭において,日本経済新聞(11月14日付け)の‘消費税率10%延期へ’の第一面の記事を提示され,もし延期が確定するようであるならば,今日お話しします‘これからの道内経済’の展望については,修正しなければならないかもしれませんと前置きをされ,講義に入られました.
経済学特別講義A(11月14日:第8回)
その展開では,「北洋銀行 調査レポート」(2014年9月号(NO.218),11月号(NO.220))からのデータや図表を資料とし,用意された報告レジメに基づき講義を進められました.データや図表を聴講者に提示され,事前配布のレジメに沿って,消費税率引き上げ後の北海道経済(主な企業・産業)の動向,ならびに,これからの北海道経済の展望を分かりやすく説明されました.前者については,四半期毎に道内企業の取引先700社を対象に売上高、利益、資金繰り、借入難易、在庫、設備投資などの経営動向をアンケート方式によって捉えている「道内企業の経営動向調査」内容からの情報に基づく説明でありました.その分析方法は,景気判断を示すDI(ディフージョン・インデックス:Diffusion Index),すなわち,「増加企業(前年同期と比べ良いとみる企業)の割合」 - 「減少企業(前年同期と比べ悪いと見る企業)の割合」を指標にしておりました.その数値から公共事業関連の建設業は,良好に推移しており人手不足が生じているが,個人消費関連の卸売業、小売業などは厳しさがみられ、データから判断する限りでは,消費税率引き上げ後の北海道経済(企業・産業の動向から)の景気回復は,総じて,遅れていると説明されました.例えば,住宅工事請負金額は,減少傾向にあり,この8月では前年比マイナス28%,乗用車販売も減少傾向にあり,この8月には前年比マイナス8%,大型小売店の販売額は多少回復しているものの,この8月には前年比2.1%であります,とデータを示しながら説明されました.(久保田の見解:講義提示のデータから判断する限り,引き上げ後6カ月経過した道内経済の業況を見る限り,道内の景気回復は,遅れぎみであり,消費税率の引き上げに対する調整に時間がかかっている,と判断されたと思われます.)
経済学特別講義A(11月14日:第8回)
‘これからの道内経済’では,円安で観光関連は底堅いものの,景気回復の一因として物価上昇に遅れている賃金水準の上昇が実現するかどうかが鍵になり,人手不足が賃金上昇に結び付くかどうか,あるいは、雇用環境の改善(正規雇用の増加など)に繋がるかどうかに依存します,と説明されました.また,アベノミクスの3本の矢に関連して,第1と第2の矢はほぼ的を射ていたと思われますが,第3の矢(成長戦略)が北海道の産業・企業にとっても大事になり,守るべき規制を保持しながら岩盤規制が取り除かれると,経済成長が持続すると期待される面もあります,と述べられました.また,異次元の金融緩和によって円安になったとしても,さらに,10月31日の追加金融緩和が行われたとしても,輸出産業の少ない北海道経済にはその政策のメリットは少なく、むしろ,円安で原材料や輸入材や建築資材の価格上昇によって,北海道の中小企業はマイナスの打撃を受けることになります.一方では、アメリカの量的金融緩和が終了したことにより,新興国からアメリカに貨幣が吸い上げられ,世界経済の減速がおこり,そのためアジアに対する日本企業の輸出などにマイナスの影響が生じるかもしれません,と懸念材料について述べられました.北海道の域際収支(輸移出と輸移入の差額)のデータから,農林水産業,飲食料品,パルプ・紙・板紙・加工紙の3分野が輸移出超過になっており,化学製品と電機・金属・機械工業の部門が輸移入超過になっていることを示され,北海道は強い部門を伸ばすことによって,北海道経済の成長が期待されます,と述べられました.
経済学特別講義A(11月14日:第8回)
最後に,豊富な資源(水資源や人材など)に恵まれ,広大な大地の北海道には,本州にはない計り知れない可能性があります.例えば,北海道が進めている(平成23年3月に提言)「バックアップ拠点構想」、災害リスク回避のために本州企業が本社機能を北海道に分散する傾向の強まりや、広大で安価な土地の利用によって農業や漁業や林業などの一次産業のみならず再生可能エネルギーの研究・開発、「北海道フード特区」の推進,さらに,新幹線の札幌延伸による経済効果などについて,その可能性を語られました.
 
 
質疑応答では,提示された北海道の主要な指標に関しての質問でありました.全国に占める北海道のGDP比は3.7%となっていますが,以前には,5%程であったと思われますが,その低下の理由について,また,関連して北海道の一人当たり国民所得は全国平均の8割ほどである聞いていますが,その人口構成(年齢構成)は同じか否かについて聴講者から質問が出されました.前者に関しては,官依存傾向の高い北海道では公共事業の減少や,石炭産業の衰退や一次産業の低迷が影響しているのではないでしょうか.また,同じ年齢構成での比較になっているかどうかはデータからは解りません、と返答されました.
 
 
講師をお引き受けして頂きました北海道二十一世紀総合研究所 調査部長の斉藤 正広様には深く感謝致します.
 
経済学部 久保田 義弘
  • 発行日: 2014.11.20