人間科学科

Department of Human Sciences

【人間科学科】酒井恵真:教員紹介

2008.04.01

お知らせ

酒井恵真:教員紹介


研究テーマ
大学の教員生活は40年、札幌学院大学には人文学部の開設のときに赴任しましたが、在職30年となりました。私の専門分野は社会学ですが、主として地域社会学を中心に、社会調査を方法とする実証研究を行っています。
私の基本的な研究テーマは「現代日本社会の構造変動と日本人」ですが、現在は「グローバリズムの進展と地域社会の変化」に焦点を当てて、研究仲間と一緒に国際化の影響を直接受けている地域社会の変動を調査研究しています。主に日本における日系ブラジル人の集住地域が対象ですが、ブラジル本国での調査も行っています。
大勢の外国人が日本に住み、定住することでどんな問題が発生するか、地域社会はいかに変化するか、日本人と外国人との共生は可能かなどを問題にしています。すでに日本は毎年600万人の外国人が訪れ、200万人を越える外国人が住んでおり、今後ますます増加することが予想されます。日本社会に大きな変化をもたらすこの問題を明らかにすることは、21世紀の日本社会のあり方を考える意味で、大きな意味があります。さらに、この調査研究は、世界的に拡大している国際間の人口(労働力)移動における諸研究とも関係する、国際的テーマでもあります。その他に、日本社会の中でも独自の地域的特性を持つ、沖縄や北海 道を対象とする調査研究も手がけています。特に道産子の私にとっては、沖縄は極めて魅力的な地域であり、惹きつけてやまない研究対象です。
その研究成果の一端は、共編著『日系ブラジル人の定住化と地域社会』(御茶の水書房、2001年)、共著『生活の公共性化と地域社会再生』(アーバンプロ出版センター、2002年)、共編著『地域産業の構造的矛盾と再生』(アーバンプロ出版センター、2007年)などを参照してください。
フィールドワークを中心とする調査研究は、多大な時間と費用を要する仕事ですが、現地の人々に直接接して教えられつつ、新たな問題発見を重ねる旅をこれからもまだまだ続けたいと念願しています。

担当講義の紹介
現在は、大学の仕事の関係で社会調査(法)、現代社会論、社会学特殊講義A、卒業論文の四科目しか担当していません。その他には、地域社会学、地域福祉論、フィールドワーク、専門ゼミなども担当していました。現在、担当の講義内容の一端を紹介します。「現代社会論」では、私たちの身近に起きている新しい社会現象を取り上げて、21世紀の社会ではどんな問題が生まれているのか、これから日本は、世界はどのように変化するのか、現在と近未来を視野に置いて諸問題の所在とその意味を考えてみます。「社会調査(法)Ⅰ」では、人間・社会を研究する方法についての、技法・手続きを取り上げています。大学は学生が研究(学問)する場所です。学問には一定の手続きや技術が必要です。調査法はその技法の原理的応用的理解を得るための講義ですが、その後の「フィールドワーク(社会調査)」では、現場に出て直接応用する実習を行います。
「社会学特殊講義A」は、社会学が取り扱う問題の中でも、特定の社会問題に焦点を絞って問題を深く掘り下げる講義です。今年のテーマは「日本社会と外国人 問題−多文化共生社会の可能性」です。これは私が研究していることの一端を素材にして、日本における多民族・多文化の問題とその共存の可能性を考える講義です。21世紀では日本もグローバリゼーションの影響を避けられない中で、日本社会や日本人はこれにどう対応していくべきか、日本にとって不可避な問題です。

個人的プロフィル
札幌生まれで、札幌育ちです。父は石川県出身で500年続いたお寺の次男坊で、昭和の初めに北海道に渡ってきました。私はその二世で道産子です。今は、九州にいる二人の孫に会うことが楽しみな年になりましたが、本学での30年間に250人を超えるゼミ生や、600人を超える調査実習(フィールドワーク)を履修した学生達などと、張り切って勉強したことが懐かしく思い出されます。時々卒業生と会って昔話をして、盛り上がっています。

外国語ができないくせに、外国人との付き合いが多いのも変なものです。現在は、日本ネパール友好協会、日本ブータン協会、北海道フィンランド協会、北海道日・伯(ブラジル)協会などの会員で、各国の留学生や在日外国人とお付き合いをしています。

私の専門ゼミは別名「美味しんぼクラブ」の異名があり、食にこだわるゼミです。毎回のゼミには、各地の美味が持ち込まれ、そこで生まれて初めての味を知ったゼミ生も少なくありません。また、「先生の手料理」が卒業後に出てくる話題の中心?というくらいです。
今年は専門ゼミの担当が無く、学生と楽しみを分かち合う機会がないのが残念です。

(酒井恵真教授は2009年3月に定年退職しました。)

  • 発行日: 2008.04.01