人間科学科

Department of Human Sciences

【人間科学科】実験をとおして心理学を学ぼう!—心理学実験実習—

2019.06.11

お知らせ
 実験をするのは学者の特権…?
 
いえいえ、そんなことはありません。
押さえるべきポイントをしっかり踏まえさえすれば、誰でも心理学実験を実施することができます。
今回ご紹介する「心理学実験実習」は、実験を自分たちで企画し実施することをとおして、心理学を「からだ全体」で学ぶ授業です。
 
現在のテーマは「パーソナル・スペース」です。
 
何やら難しそうな言葉ですが、意味は実にシンプルで身近なものです。
 
例えば、レストランや図書館。一つの大きなテーブルで相席になること、よくありますよね。
知らない人が急に隣に座ってくると、モヤモヤっと、何だか落ち着かない感じになりませんか?
でも、もし自分の斜め向かいに座ってもらえたら、それほどモヤモヤすることはないと思います。
 
私たちは、自分のまわりに特別な「空間」をもって生きています。
その空間に他の人が入ってくると、あたかも自分の体を触られたかのような違和感をおぼえることがあります。
このように、自分の周りに広がる個人的な空間のことを、パーソナル・スペース(個人空間)と呼ぶのです。
 
5月22日の授業では、一人ひとりのパーソナル・スペースを実際に測ってみました。
相手が少しずつ近づいてきて、「これ以上近づいてほしくない!」と思ったところで、相手に止まってもらいます。その地点が、自分のパーソナル・スペースの境界ラインです。
この操作を前後左右(計4回)繰り返します。
 
5月29日の授業では、「どの条件を変えたらパーソナル・スペースは変化するか」についてグループで相談し、新しい条件でもう一度測定を行いました。3グループはそれぞれ、「足音を立てながら近づく」「目をつむって測定する」「教員が近づく」という新しい条件を立てました。こうして、自分たちで考えたアイディアで測定ができることも、心理学実験の楽しさの一つです。
 
パーソナル・スペースの形や大きさは、もちろん人それぞれ。
その違いはどうして生まれるんだろう?いや、違うといっても、何らかの共通する傾向はあるんじゃないか?あるとしたらどんな共通性が…?
 
このような問いを探究するために、来週からは、この2週間で集めたデータをもとに、どんな要因がパーソナル・スペースに影響を及ぼすのかについてディスカッションをするほか、データを読み解くための統計処理の方法を学んでいきます。
 
自分たちで努力して集めたデータは、思い入れがあって、おのずと親近感がわくものです。
 
オリジナルの実験を行い、協力してデータを集め、その結果をもとにお互いの考えを深め合っていく。手間はかかりますが、そのぶん得られる学びはかけがえのないものなのです。
心理学実験のようす
距離を測っているところ
  • 発行日: 2019.06.11