研究活動

Research activities

史学

  • 臼杵 勲
    人文学部 人間科学科
    主にロシア(シベリア極東)、モンゴル、中国東北部などの北東アジア地域の考古学を研究しています。また、調査に伴う遺跡・遺物の記録法や調査方法(測量・3D化・物理探査など)の研究、文化遺産の保存・活用法についても研究しています。
    研究概要
    現在は、紀元前3世紀から紀元1世紀ころにモンゴル高原に拠点を置いた遊牧国家匈奴の考古学的研究を主に進めています。強大な漢帝国と同等にわたりあった匈奴の基盤を、生産の観点から検討しています。そのため、毎年モンゴルで発掘調査を実施しています。同時に、GNSSやドローンを用いた測量、3次元計測、磁気探査などの調査法の開発や改善を進めています。調査成果は、空間情報を組み込み、地理情報システムを用いて管理しています。文系分野では珍しく多くの機器を利用するので、研究室内は機械だらけです。
    同時代の韓国・中国などの資料も比較研究に必要で、欧米の研究者も多いので、資料収集や情報交換に、あちこちに海外出張しています。
  • 大塚 宜明
    人文学部 人間科学科
    アフリカで誕生した人類が、旧石器時代(氷河時代)の日本列島に、どのように移住し住み着いたかを研究しています。世界規模の非常にスケールの大きな内容ですが、実は10cmにも満たない小さな石のカケラ(石器)が研究の対象です。私の考古学との出会いは、大学入学直後に見た、小さな石のカケラがはじまりでした。標本箱にぎっしり詰まった石のカケラは見るからに鋭利だったので、私は昔の人が作った道具なんだと感動していました。その時、「それは道具ではなく、道具を作ったときにできた石のカケラ、つまりゴミだよ」という話を先輩から聞き、私は驚愕しました。なぜなら、自分にはその石のカケラが当時の人の道具だったのか、あるいは道具を作った時のゴミかも分からなかったからです。同時に、それを判断することのできるのが考古学なんだなと実感したのです。
  • 諸 洪一
    人文学部 こども発達学科
    「明治維新と外交」を研究対象としています。サブタイトルとして考えているのは、「幕末の維新外交と維新政府の幕府外交」とでもいいましょうか。明治初期の日本の外交を動かしていたのは、実は外交のエキスパートであった(幕府によって育った)幕臣たちでした。気宇壮大な大言壮語の裏面に興味をもって研究しています。
    研究概要
    今まで幕臣外交官・宮本小一をトレースしてきました。例えば気宇壮大な「征韓論」なるものは、実は江戸時代の儒学者や国学者たちが主張してきたものであり、明治維新の両雄の木戸孝允や西郷隆盛がこれを受け継いだわけです(実は木戸も西郷も朝鮮との全面戦争は企ててはおりません)。ところが維新当初から対朝鮮政策を担って実践していたのは、対馬藩や宮本のような幕臣たちでした。その結果がいわゆる「江華島条約」に他なりません。このような歴史を、「侵略」だ、いや、「啓諭(恩着せがましく近代化させてやった)」だ、と争う前に史料をじっくり読もうとがんばっています。
  • 菅原 秀二
    人文学部 英語英米文学科
    主にイギリス近世(16世紀から18世紀)を研究対象としていますが、分野としては社会史と都市史を扱っています。テーマは、いわゆるイギリス革命期の民衆運動として有名な「レヴェラーズ」や「ディガーズ」について、及び近世のロンドン、特にウェストミンスター市の統治構造や社会政策について調べています。日本でいえば、江戸時代の初期に当たります。
    研究概要
    古い時代は別として、イギリス史上、唯一、国王が処刑されて、国王がいない時代があります。それは国王と議会が争った時代です。日本では清教徒革命とかイギリス革命と呼ばれる事件がそれにあたります。その意味を問い続けています。最初はその時期の民衆運動を研究していたのですが、その背景を探るために、ロンドンの社会構造や政治文化を調べ始め、最近はアイルランドとイングランドとの関係を問うことにより、日本的な国民国家とは異なるまさに「連合王国」としての「複合国家」イギリスの国家の在り方について考えています。
  • 山田 伸一
    人文学部 人間科学科
    歴史、特に北海道やその周辺地域の近現代史が専門です。研究者としても、個人の生き方としても、最短距離を行かず、「脇見」や「寄り道」することを大切にしてきたような気がします。特に意識や努力をしなくても、私の場合気づけばそうなってしまっているのですが。「脇見」や「寄り道」から多く吸収してきたことが、大学という場でも生きるのではないかと期待しています。最初はごちゃごちゃしているようにしか見えない史料の森や実際の森をきょときょとしながら歩き回り、自分なりの発見をする楽しさを少しでも伝えていきたいものです。
  • 湯川 郁子
    経済経営学部 経済学科
    近代日本の村落をテーマに、地域に残された史料をもとに調査・研究をしています。戦前のむらは、江戸時代のむらを引き継ぎ、近代に入って以降、さまざまな編制を受けて、行政村の内部の地縁集団として、かなり強固な結合を示して来ました。私の研究は、近代以降に形成されてきた諸側面を重視するものです。
    研究概要
    北海道には伝統的な意味でのむらがないと言われます。江戸時代のむら(「村落共同体」という呼ばれ方をしたりします)を伝統的なむらと考えるなら、近代以降、本格的に和人が移り住んで北海道が開拓されたことを思えば、それはそうでしょう。
    近代日本の村落を考える場合に、近代以降にさまざまな編制を受けて形成されてきた諸側面をこそ重視すべきだと思う私としては、北海道の「村落」形成を考察することは、特殊から一般を見通す格好の素材たり得ると考えます。