臨床心理学科

Department of Clinical Psychology

学科の教育目標 Our Aims

臨床心理学科では、カウンセリングや心理テストの学習を通じた
「心理的援助スキル」と、親子・友人関係で役立ち、
将来の職場でも必要とされる「心理コミュニケーション力」を
学生に身につけてもらうことを目標としています。

臨床心理学科の学び Annual Curriculum

  • 01 臨床心理学の学び

    心理学的支援のためにカウンセリングや心理検査、心理療法などの臨床心理学の理論と技術を体系的に学修します。同時に様々な分野の心理学や関連諸科学を学び、人間に対する科学的なアプローチを修得します。

  • 02 精神保健福祉学の学び

    人間の理解には心のみならず、人が所属する集団や組織、地域社会にも目を向ける必要があります。精神保健福祉を学ぶことを通して、人間と取り巻く環境との双方向で動的な関係を理解します。

  • 03 認知科学〜未来の支援に向けて

    人と環境との相互関係を生態心理学や相互行為分析を中心とした認知科学の観点から探求し、これまでの臨床心理学的支援と新時代の心理学的支援の融合という新たな地平を目指します。

  • 04 困難を超える「人間力」を

    卒業後の人生までを見据え、三つの「人間力」の育成を教育の根幹に置きます。自分の強みを実感する「自己肯定感」、集団で困難に対処する「協働する力」、自分を見つめ理知的に考える「自己省察力」を後述の心理学部流の教育のもとで高め合います。

  • 05 三つの「技術の柱」の獲得

    心理学的支援にとどまらず社会生活に活用できる技術を獲得します。論理的、客観的に問題を解明する「調査研究力」、あらゆる場で活用可能な「コミュニケーション力」、身近なところで活用可能な「心理的・福祉的援助スキル」の「技術の三本柱」を三つの「人間力」の上に構築します。

  • 06 教育技法に自信あり

    「人間力」や「技術の柱」のために教育技法を開発、改訂し続けています。 命名して5年目のサツガク式アクティブラーニングは、知識獲得・協働・議論の力を融合的に向上します。心理学検定演習により1年次から基礎を積み上げ、2年3年と個々の専門性の分化にあわせて進路指導につなぐ長期育成型教育。正課内外の集いによる学習者文化の継承や研究を4年まで待っていられない人のための卒論ファストトラックも。最近はSNSを活用した協働学習支援ツールの開発と試験導入も試みています。 もちろん伝統校ならではのOBOG講話やボランティア体験、施設見学など、街の中に足を下ろすことを忘れずに、机上の知に偏らないバランスよい成長が可能です。

  • 07 進路形成〜国家資格取得・大学院進学・公務員専門職合格支援

    国家資格の公認心理師や精神保健福祉士の取得を目指す方、その他の心理学的支援職や公務員専門職を目指す方のために、学びと将来を1年次から個別に最適化する長期育成の進路指導をしています。 また、正課外にもエクステンション講座や勉強会を通した国家・地方公務員受験支援があります。 進学支援については、本学臨床心理学研究科への特別選抜試験の実施だけではなく、一人一人の志向にあった他大学大学院への進学支援を組織的にはじめています。近年の合格実績は北海道大、鳴門教育大学、東京国際大、立命館大、北翔大などです。

  • 08 卒業後の活躍〜

    進学や国家資格取得、公務員専門職など、心理学的支援者の育成は、臨床心理学科の長い歴史の中でも大きな軸足です。 その一方で、心理学的支援の学びを、一般企業や福祉分野など、幅広い領域の中で生かしている多くの先輩がいます。児童養護施設や障がい・高齢者福祉分野の活躍、企業人事部門、医療や社会教育など様々です。 心理学をホスピタリティに生かし、人生の大切な一瞬をプロデュースする冠婚葬祭業や、情報処理技術者としてユーザビリティに生かす先輩も。海外留学から進路を国際貢献に向けた人もいます。 人を理解し支えることの大切さは万国共通。未来の活躍のための「人間力」に「技術の柱」を育成する教育により、札幌学院大学の願いである、”One life, Many answers“を先輩方のように体現してください。

学科での4年間 Your Four Years at the Department

目指せる資格や検定 Qualifications and Certification Programs

  • 認定心理士
  • 心理学検定
  • 准学校心理士
  • 公認心理師
    (国家試験受験資格)
  • 臨床心理士
    (指定大学院修了必須)
  • 社会教育主事
  • 学芸員
  • 精神保健福祉士

講義紹介 Lecture Introduction

多様な学問領域の専門家が集結!

「心理演習」は具体的な心理的支援の場面を想定して、ロールプレイや事例検討を行なう3年次科目、「心理実習」は外部施設の見学などの実習を通じて、心理的支援の実際、多職種連携、地域連携、公認心理師の職業倫理と法的義務を学ぶ4年次科目です。どちらの科目にも、人の多様性と人が変化する力を知ることによって、価値観や視野を拡げていける魅力があります。一方、支援がうまくいくとは限らないと知ることや、他人の心の影に触れることで発見される、相手より自分を優先し守ろうとする心の弱さやコンプレックスを直視し、乗り越えていく困難もあります。心理的支援に必要な知識と技能の習得に加え、支援者としての適性を体験を通じて学び、磨く場です。

ゼミナール・
研究活動紹介
Seminars & Research

  • 伊藤 万利子 ゼミ

    「平面における表現と知覚:音を視覚的に描く技法の探索」

    ゼミナールの紹介
    知覚心理学者J.J.Gibsonの創始した生態心理学を理論的な柱とするゼミです。ゼミでは、視覚的に知覚される絵において、音がどのように表現されているのか、あるいはされうるのかを、関連する文献の講読や絵の分析をする実習を通して探索します。

  • 大宮 秀淑 ゼミ

    「病院臨床(精神科領域)における精神分析的心理療法」

    ゼミナールの紹介
    心の臨床家を目指す上で大切な「人の話の聴き方」について精神分析を基にして考えていきます。
    テキストを中心にして精神病院という場で精神分析的心理療法はどのように実践され得るのかについて理解を深めていきます。

  • 菊池 浩光 ゼミ

    「河合隼雄先生に学ぶ」「クライエントと共に問題を考えていくカウンセリング」

    ゼミナールの紹介
    日本の臨床心理学に大きな影響を与えた河合隼雄先生。まず河合ワールドに触れてみましょう。それはJung心理学を学ぶことにもなり、人間をどう捉えるか、自己実現とは何かを深めることにも繋がり、実際のカウンセリング場面でも有用です。「クライエントに実際的に役に立つ」心理実践を目指していきます。

  • 小林 茂 ゼミ

    「精神障害当事者との包括支援(認知行動療法・当事者研究・コミュニティ心理学など)、体験型学習(ラボラトリー トレーニング)ほか」

    ゼミナールの紹介
     主として私は精神障害当事者とのかかわりを通じた臨床とコミュニティ心理学に根ざした実践をしておりますが、自らは領域は定めません。ゼミでは、学校や医療などの現場で使われる汎用性の高いSST(ソーシャル スキルズ
    トレーニング)と当事者研究の習熟に取り組みます。基本は、「形から入れ」「からだを使って学ぶ」です。

  • 斉藤 美香 ゼミ

    「ミクロ的視点としての「精神分析」理論とマクロ的視点の「学生相談のコミュニティーアプローチ」について」

    ゼミナールの紹介
    本ゼミでは、教育・医療分野といった臨床分野だけではなく、日常生活や社会事象を精神分析というミクロ的視点から理解することを学びます。また、実際の心理的支援では個をとりまくコミュニティの視点から多層的に考えられるようなバランスのとれた臨床家を育てることをめざします。

  • 佐野 友泰 ゼミ

    「自分自身について上手に他者へ伝える(コミュニケーショントレーニング)」
    「自分自身についてよく知る(芸術療法)」

    ゼミナールの紹介
    「自分自身について上手に他者へ伝える」「自分自身についてよく知る」という2つのテーマでゼミを行っています。前者についてはコミュニケーション力のトレーニング゜、後者については芸術療法の実習を積むことで、就職活動や各種試験に生かせるスキルを身につけます。

  • 久藏 孝幸 ゼミ

    「児童福祉に関係する、発達障がい、児童虐待、保護者支援、里親、心的外傷後成長、療育、非行など」

    ゼミナールの紹介
    久蔵ゼミの関心は児童福祉に関係する、発達障がい、児童虐待、保護者支援、里親、心的外傷後成長、療育、非行などです。毎年これらの分野の何かの本をみんなで輪読しています。将来、保育士や公務員、施設職員などになって、児童福祉や関連する領域で生きて行きたい人を応援しています。もしもよければあなたもどうぞ。

  • 宮崎 友香 ゼミ

    「医療領域の認知行動療法」

    ゼミナールの紹介
    宮崎ゼミでは他の講義では取り扱わないような、より専門的な認知行動療法について学んでいます。ゼミ生同士で意見や質問を出し合うなど、和気あいあいと日々学びを深め合っています。(R・I)

  • 村澤 和多里 ゼミ

    「児童や青年の心理的な諸問題について理解し、援助の方法を探る」

    ゼミナールの紹介
    児童や青年の心理的な諸問題について理解し、援助の方法を探っていくことをテーマとしています。テキストには滝川一廣という精神科医の著作『子どものための精神医学』を用いて、発達とその過程で生じる困難について系統的に把握することを目指します。

  • 森 直久 ゼミ

    「環境デザイン」

    ゼミナールの紹介
    人の認知と行動は環境によって影響されると考え、環境を適切にデザインすることにより望ましい認知と行動への修正を考えます。この発想をとる限り、研究対象としてはあらゆるものが考えられます。現在は、学習環境のデザイン(特にアクティブラーニング)とユーザーエクスペリエンスの研究を進めています。その他、心理学を専攻した者が身につけられるスキルである、心理学的研究法、多変量解析、会話分析などの習得を目指します。

  • 友野 貴之 ゼミ

    「知覚-行為の関係性についての研究」
    「人混みの中を通り抜けはじめとする障害物回避の研究」

    ゼミナールの紹介
    研究テーマは身近なものからそうでないものまでさまざまです。ゼミでは心理学の実験実習を通して人間の知覚や行為についての理解を深めていきます。

  • 山本 彩 ゼミ

    「子育て支援や、発達障がい支援、ひきこもり支援、司法福祉連携などにおいて行われている行動療法プログラム」

    ゼミナールの紹介
    子育て支援や、発達障がい支援、ひきこもり支援、司法福祉連携などにおいて行われている行動療法プログラムを、体験しながら学び、自分たちでも調べ発表し合うというゼミです。授業を通して「現場を見学したい」「当事者さんの生の声を聞きたい」「飲み会を開きたい」という要望があれば、授業外の時間に任意参加でどんどん取り入れています。


卒業後の進路 Paths after Graduation

法務教官・技官、児童相談所/その他公務員、保育園、児童指導員/児童養護施設心理士、
発達支援事業所、就労移行支援事業所、その他福祉法人職員・指導員、サービス業/卸売・小売業、
運輸業/旅行業/その他 、医療・教育・福祉・司法の心理士、スクールカウンセラーなど