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法学部
伊藤 雅康
・働くことと憲法・法律
昨年から、派遣労働などの雇用形態の問題や最低賃金などの労働条件の問題がにわかにク
ローズアップされ、注目を集めています。これらの問題じたいはそれ以前から存在していますが、このように注目されているなかだからこそ、また、卒業後には、大学や専門学校へ進学したあとも含めて、ほとんどの人が働くことになるわけですから、この機会にいったいどういう問題なのかをいっしょ
に考えてみませんか?
この出張講義では、日本国憲法が働くことについて国民にどういう権利を保障しているか
を確認したうえで、主要にはそれを受けて作られた労働基準法、最低賃金法、労働組合法などの法律、そして近年になって制定された労働関係の法律のことも紹介しながら、本来、雇う側は何をしてはいけないとされているかを中心にお話ししたいと思います。
・憲法を変えるということ
2007 年に憲法改正のための手続を定める法律が制定されました。もちろん、憲法改正に
ついてはこの法律が定める国民投票をはじめとする諸手続への注目ばかりではなく、主要政党をはじめとする諸団体が発表してきた憲法改正の具体的な提案を素材にしながら、改憲の是非ということも議論の焦点になろうかと思います。
そこでこの出張講義では、改憲の是非ということを直接の対象とすることなく、しかし、高校生の皆さんがいくいくは憲法改正権者のひとりとして判断を下す立場になることを想定して、憲法とはそもそもどういうものであるか、改憲をめぐる意見の対立は何についての考え方の違いに由来しているのか、といったことをお話ししたいと思います。
家田 愛子
・格差社会を考える
今日「格差社会」や「勝ち組・負け組」というような、労働の場での格差が問題になってい
ます。あなたは、「自分は『負け組』に入るはずがない。」と思っていますか?私たちは、誰でもその気になれば「勝ち組」に入れるのでしょうか?「負け組」の人は怠け者なのでしょうか?日雇い派遣や契約社員として働く人たちは、努力が足りないのでしょうか?あるいは、好んで正社員にならないのでしょうか?
20 年ほど前までは、日本は「総中流社会」と言われていました。ではいつ頃から「格差社会」が始まったのでしょか?「格差社会」は避けられない社会現象なのでしょうか。
このような問題意識で「格差社会」を考えてみたいと思います。
岡田久美子
・刑法とその解釈・立法
日本の刑法が100 年以上前に作られた法律だということを知っていますか。現在では、刑法が作られた時には予想できなかった事件が発生しています。その場合、法はどのように運用されるのでしょうか。
ここでは、1991 年に起きた殺人事件を取り上げます。貧しい家族を助けようとして働くため来日したタイ人女性が、実は人身売買組織にだまされていて、監禁され、売春を強いられました。この女性は、監禁、強制売春、そして日常的な暴行から逃れるため、監禁者を寝ている時に殺しました。経済的に豊かとはいえない国から、組織が人を買い入れる行為や、寝ている人を自己防衛のために殺す行為は、立法時には想定されていませんでした。
この事件で誰が・どのように裁かれるべきなのか、いっしょに考えてみましょう。
小沢 隆司
・裁判員制度─どこから来、どこへ行くのか
2009 年5 月から裁判員制度が本格的にはじまります。これは殺人などの重大事件で一般
国民から選ばれた裁判員が、裁判官とともに有罪か無罪か、有罪ならどの程度の刑罰を科す
のかを話し合いながら決める新たな刑事裁判の仕組みです。実は、日本で国民の司法参加が試みられるのは今回が初めてではなく、明治憲法時代にも大正デモクラシーの民主化の波を受けて陪審制度が実施されたことがありました。この講義では、選挙権の拡張のあゆみとあわせて、近現代日本における国民の司法参加のあゆみを振り返り、新制度の将来を一緒に考えてゆきたいと思います。
金山 剛
・はじめての税法講義″高校生のための税法・税金教室
国や地方公共団体が行なう政策には色々なものがあり、例えば、国を守る防衛、国民の生命と財産を守る警察、国民の生存権の確保を目的とする社会保障、そして道路、公園、水道、港湾等の公共施設の充実を目的とする社会資本整備などを挙げることができます。これらの公共政策の遂行や公共サービスの提供、公共施設設備の整備や充実等をしていくための費用は、私達の税金(租税)によって賄われていて、いわば租税は現代市民社会の会費ともいえます。
そこで、誰が、どんな名目の租税を、どれだけ負担するか、というルールは法律(税法)によって明らかにすべきであると考えられています。この考え方を租税法律主義といい、わが国では、憲法30
条に法律による国民の納税義務を、同じく84 条では課税は法律によることを必要とする、との定めを置いています。私達の暮らしに大きな関わりをもつ租税を、政治、経済、法律との関係でわかりやすくお話したいと思います。
神谷 章生
・家族縮小時代の福祉社会:みんなで働く社会の政治経済学
家族は愛情で結ばれているとよく言われている。家族が大切だと誇らしげに語る学生も多い。「しかし」とあえて異を唱えてみることも大切かもしれない。家族が愛情で結ばれるって言うのは、逆に言うと「愛情が喪失したら」家族は解体してしまうのだろうか。
すでに一世帯あたりの員数は2を下回っている。こういう状況で、高齢者や乳幼児のケア(介護や育児)が特定のメンバーに押し付けられることがそもそも可能なのか。仕事もこれまでのような「終身雇用」ではなくなっていくかもしれない。お父さんの仕事や収入を単に補助的に埋め合わせるだけで女性はいいのだろうか。結婚や出産を機会に仕事をやめるなんてできるのだろうか。これからの若者は、自分たちの生活設計を考える際にどういうことを基準に考えればいいのだろうか。
本講義では、家族の縮小過程に入った現代の中で自分の能力を最大限生かしながら、なおかつ豊かな老後を送っていくための基準を高校生の皆さんと考えていくための素材を提供したいと思う。
小杉 伸次
・会社は誰のものか─株主が経営者をえらぶのか、経営者が株主をえらぶのか─
近年、わが国にあっても“敵対的企業買収”が現実味をもって受け止められるようになってきている。
平成17 年3 月23 日の東京高裁決定によれば「会社の経営支配権に現に争いが生じている場面において、……現経営者…の経営支配権を維持・確保することを主要な目的として新株予約権の発行がなされた場合には、原則として、…『著シク不公正ナル方法』による新株予約権の発行に該当する」とされている。但し、同決定は株主全体の利益の保護という観点から、特段の事情がある場合には、例外的にそれが許容され、かつそれらを例示している。
この出張講義では、M & A について現実に生起した二、三の最近の事例を素材として、受講者とともに“標題”の件について考えてみたい。
笹川 敏彦
・会社の仕組みを学ぼう
高校生の皆さんの多くは、将来、会社で働く。公務員など会社以外の場所で働くという場合も考えられるが、それでも、日常生活を会社と関わらずに過ごすことは、ほとんど不可能である。なかには、自分で会社を起業しようという夢をもっている人もいるかもしれない。他方、会社の「仕組み」を知っている人はというと、あまりいないのではなかろうか。
この出張講義では、私たちに身近であるにもかかわらず、あまりよく知られていない会社の仕組みについて説明したい。具体的には、会社の種類、起業の仕方、株主になるとはどういうことかなどについて、分かりやすくお話ししたいと思う。
佐藤 陽子
・ストーカー行為等規制法について─なぜ好きな人を追いかけてはいけないのか?
ストーカー行為等規制法は、恋愛感情(及びそれに類似の感情)でつきまとい行為等を行
った者を処罰するための法律です。
しかし好きな人に手紙を書いたり、好きな人の後をついて回ったりする行為が、なぜ犯罪
となるのでしょう。世界中の夫婦や恋人同士が初めから両思いだったわけではないはずです。どちらか片方の積極的なアピールで恋人同士となった例もあるでしょう。
「なぜストーカー行為等規制法は、かつては自由な恋愛だと放任されていた行為を処罰するようになったのか?」「一体何のためにストーカー行為等規制法はあるのか?」本講義は、日本独自のストーカー行為等規制法の成立過程をみることで、この問いに答えをだしていきます。同時にまた、ストーカー行為等規制法に関する知識を得、実際に犯罪(法)が制定される過程を学習していきます。
嶋田 佳広
・「少子化」「高齢化」:いったいぜんたい、何がどう問題なの?
「少子化」とは、子どもの数が減ること、「高齢化」とは老人の数が増えること、と、みなさん知っておられることかと思います。こうした問題がニュースや紙面に現れない日もありません。しかし、このように大きな社会的関心を呼んでいるテーマですが、一般市民の感覚からすれば、「たいへんな問題なのは分かるけど、どうもよく理解できない」ということろではないでしょうか?確かに、問題の"
根" は深いし、何から考え始めればいいのか、本
当のところ誰も分かっていないかも知れません。しかし少子化や高齢化は、放っておけば取り返しのつかないことにもなりかねませんし、最後に困るのはわたしたち一般市民です。この出張講義では、特に社会保障・社会福祉を切り口に、問題へのアプローチと、とりわけ若い人にとっての意味や影響を考えていきたいと思います。
清水 敏行
・隣の国、韓国で面白いこと
日本と韓国の間で多くの人が行き来している。日本からは多くの観光客が韓国を訪れています。高校生もまた修学旅行などで韓国に訪問する機会が増えてきて来ています。
そこで、日本と韓国の違いについて、生活習慣、文化、歴史、政治などにわたって話しをします。
担当者は韓国の現代政治について研究しているので、政治についても話そうと思います。
清水 雅彦
・教育を受ける権利の歴史・意義・内容
昔は教育が私事だったので、勉強するかしないかは自由でした。でもこのことは、自分が選ぶことのできない親などによって受ける教育が大きく異なることを意味します。子どもに教育が必要なのは、将来、親などから独立して1
人で生きなくてはならないからです。大人になれば様々な権利を行使できるようになりますが、義務や責任も生じます。また、子どもは未熟とはいえ、人間なのですから子どもにも様々な権利・自由が保障されています。そこで、憲法では国民に教育を受ける権利を保障し、憲法に基づいて教育に関する各種法律が整備されています。さらに、世界的にも子どもの権利条約というものが制定されています。これら憲法などによって保障されている教育を受ける権利や子どもの権利について、その歴史や意義・内容などを講義したいと思います。
西尾 敬義
・日本の選挙制度について考える
日本の衆議院議員選挙では、激論を経た上1996 年以来、いわゆる「小選挙区比例代表並立制」という選挙制度が採用され、参議院議員選挙では比例代表制、小選挙区制、中選挙区制の3種類の折衷型となっている。まさしく「選挙制度のデパート」といってよい。衆議院の選挙制度をめぐる近年の議論は、大変残念なことに、選挙はどうあるべきかという原理的な観点ではなく、もっぱら党利党略の観点からなされてきた。
この講義では、諸外国の制度も紹介しつつ、代表的な選挙制度である「小選挙区制」と「比例代表制」の本質的(枝葉末節的ではなく)特徴を明らかにし、次いで日本の現行の選挙制度の特徴を浮き彫りにし、最後に国民主権の下での日本の選挙制度はどうあるべきかを原理的に考察してみたい。
洞澤 秀雄
・市町村合併と道州制:なぜ自治体は大きくなる必要があるのか?
数年前から多くの地域で市町村合併が進んでいます。自治体が合併して規模が大きくなっています。それと似ているものとして、道州制があります。道州制は北海道については合併するわけではないので、規模が大きくなるわけではないですが、他府県の場合には合併して規模を拡大します。 ではなぜ、今、自治体は大きくなる必要があるのでしょうか?
この規模拡大の必要性を説明し、それぞれの高校の置かれている地域の合併問題を具体的に見て、皆で合併の必要性を考えてゆきたいと思います。
その地域での合併問題については、住民でない私よりも生徒の皆さんの方が詳しいかもしれませんので、こちらからも話を聞きながら授業を進めていきます。
松本 祥志
・盗まれたアフリカ文明:ギリシア古代史の捏造
ソクラテスはどこで哲学を学んだのか。ユークリッドを救うためメガラに行ったきりアテネに戻らなかったプラトンは、やはり奴隷として売られたのか。なぜアテネ政府・市民は哲学者を迫害したのか。科学者アリストテレスは本当に20
年間も専門の違うプラトンから学び、本を千冊も書いたのか。アレキサンダーの援助で参考書を買えたとしても、売られていた本の内容を他の学者は全く知らなかったのか。なぜギリシア哲学はアリストテレスの死で突然終焉したのか。
ギリシア文明誕生の2 千年前に高さ136m の建造物を建てたエジプトの学問が、ペロポネソス戦争やカイロネア戦争に敗れた混乱のアテネに影響を与えなかったのか。ソクラテスやプラトンらのアフリカ留学を伝えたヘロドトスの『歴史』が神話だとされ始めた18C
に植民地主義が現れたのは偶然か。歴史とは。
吉川日出男
・静穏権を考える
騒音には、工場騒音、建設騒音、交通騒音̶航空機・軌道(新幹線・JR・市電など)・道路(トラック・バス・乗用車など)、基地騒音、生活騒音などがあります。ここでは最後に挙げた近隣騒音について考えてみたいと思っています。そもそも、騒音とは何でしょうか?通常、騒音とは、「無い方がいい音」、「不快な音」、「騒がしい音」として、説明されています。この定義によると、騒音に当たるか否かの判断は受ける側の主観に多くを依存しているように見えます。そうすると、騒音被害者が騒音苦情を訴える場合、大きな勇気と決断が必要になってくるように思います。それでよいのでしょうか?
人々が静かな環境の中で生活したいと言う願望を持つことは我侭なそして身勝手なことな
のでしょうか。本講義では、皆さんと一緒に、人々が静かな環境の下で生活することを求めることのできる権利̶静穏権について、考えてみたいと思います。


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