〈お知らせ〉臨床記念講演会

精神分析の巨匠、北の大地で創造性を語る

去る7月18日(日)にホテルさっぽろ芸文館にて、札幌学院大学大学院臨床心理学研究科開設10周年と心理臨床センター開設15周年の記念行事の一つとして、「創造性と心理臨床」と題し、九州大学名誉教授の前田重治先生と北山修先生をお招きして記念講演会を開催しました。
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2010年7月18日、前田重治先生と北山修先生の講演と対談が行われた。お二人は精神分析の巨匠であることは世界的に知られたことであるが、お二人の共通点として「周辺」と表現される九州の地で精神分析の理論を深め後進の指導に当たられたことである。心は「うら」と読まれるように中心や表ではないということであろう。そして、今回、札幌学院大学臨床心理学研究科開設10周年記念講演としてお二人をお招きできたことは、今後の教育と研究においてまことに勇気づけられる思いがした。修了生たちも、両先生のスケールの大きさに圧倒され、話に引き込まれ、普段の授業では体験できない心の揺らぎを体験したように思う。実際に終了後の反応は、本物に触れた感動を伝えてくる者がたくさんおり、「育っていく時に本物を食べることはとても大切なことなんですね」というメッセージもあった。この体験が、ますます大きく育つ契機となってくれることを期待したい。
当日は、会場全体がワクワクし、膨大な自由連想の渦が巻いていた。やはり「周辺」である札幌の地で、お二人の先生の意識と無意識が交錯し、そこに600人もの人の意識と無意識が絡み合ったあの時空間の興奮は北の大地のエネルギーをも吸い込んだものだったように感じた。まして、北山先生は若き研修医の時代を札幌で過ごされたことがあるので、北山先生にとっても故郷に帰ってきたような感覚もあったのではないかと思う。この観点からも時空間を超えた人の成長の軌跡とそのエネルギーがこの地に還元されたのであろう。

  

「劇的精神分析」とか「芸論」とかいう言葉がテーマに入っていた。サイコセラピーのなかでの劇化、そして、芸論とサイコセラピーの共通点というお話であったが、1人1人の人生もまさに作品であろう。「創造性」という大きなテーマは、あの会場にいた600人が自分の人生をどう造っていくのかという非常に個人的な側面と、どのようにこの北の大地から「創造性」を発信し続けていくのかという社会的な側面とを含んでいるものであった。さらに、研究科にとっては、臨床の場で、教育の場で、どのように創造性を引き出していくのかという具体的な連想へと繋がる内容であった。
北の大地も、「周辺」としての自由を保ちつつ「周辺」であることの役割をしっかりと担いたいと思わせられた一時であった。

  

  • 発行日: 2010年07月21日