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心理学で見る 歴史の裏

心理学的知見から見たSNSの普及

近年、急速な発展を遂げてきたIT 業界のなかでも、SNS の普及速度は尋常ではありませんでした。設立して間もない企業が歴代の大企業と肩を並べたりと、まさに現代の革命ともとれるソーシャルネットワークサービスの成長は、人々の心に大きく影響を与えました。

SNSが変えたこころ、こころが変えたSNS

2010年代に入ってスマートフォンは驚くべき速さで普及していきました。いまや、高校生や大学生にとってはマストアイテムとなっていると言えるでしょう。
若者とSNSとの関係についても、スマートフォンの普及後はまた次のステージに移ったと考えられます。動画の視聴や配信が簡便になり、「ユーチューバー」なる人々も出現してきました。また、2011年にサービスの始まったLINEは若者たちのコミュニケーションスタイルに大きな変化をもたらしました。
それは、現実の多重化です。LINEなどのSNS空間上では、複数のグループが同時に進行していて、それらにリアルタイムで関与し続けることが可能になります。その人の生活に重大な影響を及ぼすようなやりとりが、時間を選ばず、場所を選ばず、複数が同時的に起こりうるのです。場合によっては、目の前で話している人との関係よりも、SNS空間上でのやりとりの方が重要性を帯びることも珍しくはありません。
現代の若者たちは、常に進行中のコミュニケーションに「接続」されっぱなしになりやすく、そのために多くのエネルギーを費やしていると言えます。SNSグループへ参加している人は、半ば義務として、反応が求められ、接続を切ることもなかなかできないのです。一昔前であれば、家に帰れば学校の仲間や職場の同僚とはほとんど会いませんでしたし、電話するにしても一対一の関係でした。しかし、SNS上は寝ている時以外は常時グループが進行しているのです。

スマホ依存

スマホ依存、恋愛依存、アルコール依存、薬物依存、過食。世の中にはたくさんの依存症があります。依存症について、科学的に専門的に研究する人たちが共通して言うことは、依存症は個人の病理ではなく社会の病理である、ということです。他者とのつながりを実感できる社会では依存症がおきづらいことが、実際の治療からも、そして動物実験からも実証されています。スマホ依存の状態ということは、他者と一見つながっているようで、実はつながりを実感できていないという、矛盾をあらわしているのかもしれません。

SNSによる新たな親密性の萌芽~「みまもる」という関係性~

このように、SNSの普及によって、随分とコミュニケーションスタイルは変化したように見えます。しかし、面白いことに、若者たちが求めている友人関係の中身はそれほど変化しているわけではありません。ある調査結果では、若者たちは依然として内面を分かち合うような関係性を希求していることが確認されています。
SNSにより、新たな関係性のあり方の萌芽のようなものも見られます。それは「みまもる」という関係性のあり方です。「ユーチューバー」については承認欲求の強さが指摘されがちですが、もう一方で、それを視聴する人々にも独特のスタンスが見てとれます。見ず知らずの人の日常生活を「みまもる」ことで、「ほっこり」したりやさしい気持ちになるというのです。ここに、あたらしい世代の親密性の萌芽をみても良いかもしれません。
ココロちゃんココロちゃん

教員からのコメント

心理学の立場からは、世の中全体の進歩を止めたり変化させたりすることは難しいかもしれません。しかし、心理学は人のこころに光を当て続け、人にとって重要なことをいつも地道に問い続けることができます。そしてそのことによって、身近な人とその周りの人の関係性に変化をもたらすことができます。本学科のカリキュラムは、人のこころを多角的にとらえ、人と人との関係性に介入する方法を系統的に学べるように構成されています。
心理学の先生たち

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