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心理学の先輩 インタビュー

心と体にギャップがあるのが面白いですね。

札幌学院大学 心理学部教授

室橋 春光

先生が心理学に関心を持った時期はいつ頃ですか。

きっかけはそんなにはっきりしたものはなかったですが、高校生の頃です。心理学に興味があったので迷ったのですが、理科にも大変関心があり、最初は工学部に入学しました。脳の関係を調べるのは理系で、心について調べるのは文系でという感じでしたが、両方にかかわる生理心理学という学問をする研究室が教育学部にあったので、工学部の後、そちらに行きました。

その後は大学院にも通ったので、結構大学には長くいましたね。(笑)

先生が捉えているこころってどういうものですか。

意識というものは、サーチライトみたいなものなんですね。劇場があるとすると、舞台に役者さんたちがあがって、そこにライトが当たります。強く当たるところもあれば、ぼんやり当たる部分もあり、あとは真っ暗なところもある。ライトが当たっているところが意識で、当たっていないところが無意識なんです。

観客、つまり我々の意識はライトの当たっているところしか見えないんですが、そのライトが当たっていないところでも色々なことが行われていて、小道具さんがいるとか舞台監督さんがいるとか、みんなそれぞれの役割を果たしているんですけど、それは見えないわけなんです。でもその劇場全体が心というもので、舞台はワーキングメモリーというものに相当するんですね。ライトが当たる舞台があって、そこに色々な役者があがってきて、演じていると。

心理学を学んだことで得たこととは

研究者というのは、色々なことに疑問を持つことが仕事なので、心というものについて疑問を持つことが心理学者にとって大事なことですね。

らっきょうって、皮をむいていってもタネのようなものが全然ないじゃないですか。でもらっきょうはある。

心理学も同じで、一生懸命調べてタネを探そうとするんだけど、もしかしたらタネはないのかもしれない。でもその調べるというプロセスが大事なんです。

心理学の教科書って基礎の部分から書いてあって、読者は私の知りたいこと全然書いてないってなって心理学から離れていっちゃうんですけど、本当はなんでも基礎が大事なんですよね。

その基礎の部分を通り抜けるまでが大変なんだけど、真ん中過ぎるあたりからちょっとずつ先が見えてくるような気がして、だんだん面白くなってくるんですよね。実は、アメリカの心理学の教科書はその辺も興味を持てるようにうまく書いてあるものが多いですし、最近はそういった本の翻訳もいろいろ出るようになっているので、それを読むのもいいかもしれないですね。

今までやってきて面白い部分は

細かいところから積み上げていかないとわかって来ない部分が見えてくるのには、どうしても時間がかかるのですけど、わかってくるとそれがとても面白いかなと。

私のやっているのは、脳のしくみを考えることで、心の問題がどう見えてくるのかということなんですね。

目標をたてることができるのはヒトの脳のはたらきの最大の特徴なんです。今ないことをあらかじめ予想する力がヒトにはあるわけですが、予想するから人は不安になるんです。人間死んだらどうなるのかと予想しないではいられないわけじゃないですか。で、宗教が生まれる要因になっていく。不安から様々なことも出てくるし。先ほどのライトの話じゃないですが、自分でもわからないところに心と体のギャップがあるんだけど、意識はライトの当たらないからだのことをわからないまま、行動しろと命令を出してしまったりする。そんなギャップがあって、からだを巻き込んだ悩みになっていってしまうんですね。

結局、心と体のあいだにギャップがあるというのが大変興味深いことなのですよね。それを脳のはたらきを調べながら考えてみるということが、とても面白いなと思う部分ですね。

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