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心理学で 街中散歩

原始時代の人たちにも「こころ」はあったのか

私たち現代人、ホモ・サピエンスは、今からおよそ20 万年前~5万年前くらいの間に誕生したようだ。
そんな頃の人たちに、私たちと同じような「こころ」があったのだろうか・・・

ヒトとしての「こころ」

同じような「こころ」をもっていたと思われます。うれしい、悲しい、さびしい、怒る、といった感情は現代に暮らす人たちと同じように持っていたと思われますし、毎日の暮らしの中でさまざまなことに悩みながら取り組み、過ごしていたと思います。それは、ヒトとしての脳に、基本的に大きな変化はないとみられるからです。例えば「恐怖」という感情は、昔でも今でも、危険に遭遇したときにはそのような事態を回避するための行動を引き起こして、身の安全をはかるメカニズムの一部になっているといえます。
しかしながら、どんなことに悩んでいたか、何がうれしく、何が悲しいことだったのか・・・それはずいぶん違っているかもしれません。命をかけて狩りをおこない、生き延びていくことで精一杯だった人々の暮らしと、「安全・安心」であるべくシステム化された環境で暮らす現代の人々の暮らしとは、とても違っています。人間関係の持ち方も、現代ではずっと複雑なありさまになっているといえるでしょう。

こころの進化の謎を解く

進化心理学という学問があります。「こころ」はどのように進化してきたのか・・・その背景にはどのような心理的メカニズムの変化があるのか、といった問題を解き明かそうとする学問領域です。
わたしたちの「こころ」が脳の活動の産物であるとしたら、「こころ」の進化をさぐるには、脳の進化を調べることが重要であるということになります。
わたくしたちヒトの属する霊長類の脳は、他の動物の脳よりも連合野とよばれる領域の割合が大きくなっています。連合野には、種類の異なる情報を統合的に処理するメカニズムが備わっています。霊長類、特にヒトでは、脳のはたらき全体を統括する役割を果たす前頭連合野という部分の進化が認められます。

脳でおこなわれる情報処理

目や耳、そして皮膚から入ってくる環境の情報は、動物が生き抜く上でとても重要なものですが、その量は莫大でしかも間断なく脳に送られてきます。環境に応じた複雑な動きができるような動物は、莫大な量の情報の中から、いまここにいる自分にとって大事なものを瞬時に選び抜き、過去に記憶した情報と照らし合わせてどうすべきかを決定し、行動に移ることができるような脳のメカニズムを備えています。

ヒトの脳における情報処理の特徴

そのような脳のメカニズムは、長い時間をかけて進化してきた動物に備わっています。特に情報処理の柔軟性に優れているのが、ヒトの脳の特徴であるといえるでしょう。環境に合わせた多様な行動を選択することが、可能になっているのです。ただし、脳が進化すること=幸せになること、であるかどうかはわかりません。脳の構造が変化するためにはとてつもなく長い時間が必要であると考えられているのですが、他方で私たちの作り出した文化・社会はめまぐるしい変化をみせています。ヒトの脳は、自らつくり出した、そのような文化・社会の変化に適応しきれなくなっているのではないか、とも考えられているのです。
ココロちゃんココロちゃん

教員からのコメント

現代に生きるわたしたちは、さまざまな「現代的」問題に直面しています。その悩みは、進化の結果として複雑なしくみを抱えこんだ「脳」のメカニズムの中にある矛盾の現れであるのかもしれません。
わたしたちの「こころ」の問題は、「こころ」を支えている「からだ」にひずみを作り出すことになりがちです。脳が情報を処理するメカニズムを理解し、こころとからだのギャップをみつめることが、現代を生き抜くためのヒントになるかもしれません。
心理学部では、基礎から臨床まで、「こころ」についてトータルに学ぶことを目指しています。
心理学の先生たち

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