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心理学で 街中散歩

恐怖マンガの心理学

私たちは「恐いもの」を恐れながらも、それを求めています。
いつの時代にも「恐怖マンガ」は人気ジャンルの一つですが、なぜなのでしょう?

「不気味なもの」への親しみ

精神分析を創始したフロイトは、「不気味なもの」という論文で、無意識的には、私たちはきみのわるいものに対して親近感を抱いていると述べています。例えば、子どもたちが排泄物に対していだく奇妙な関心がそれにあたるでしょう。もっとも排除されるべき存在でありながらも、ある意味でもっとも親しい存在でもあるのです。
それから、自分の姿を鏡で見たときに、何ともいえない不気味さを感じたことのある人は多いと思います。よく知っているはずのものが、日常的な生活から切り離されてしまったときに不気味な印象が生じるのです。また、「幽霊」も、もともとは親しい人たちであったりもします。

「恐いものみたさ」の心理

私たちの「恐いものみたさ」という心理も、精神分析の理論で説明することができます。私たちは、正常な心の働きを失ってしまうような体験を、心から切り離して生活しているのですが、それは心の大切な一部を失ってしまうことでもあります。
それゆえに、「恐いもの」「不気味なもの」が正常な心の働きを失わせるリスクのある存在であることを知りつつも、そこに日常生活では触れられない禁断の快楽をもとめてしまうのです。

恐怖マンガの変遷

このような心理を背景に、恐怖マンガは常に一定の人気を博してきました。しかし、そのテーマは時代とともに移り変わっています。
初期の恐怖マンガでは、『ゲゲゲの鬼太郎』に代表されるように「妖怪」「ゆうれい」といったどこか懐かしいものへの恐れがテーマでしたが、1960年頃から漫画家楳図かずお氏らよって人間の「心の闇」がテーマとして描かれるようになりました。そして2000年頃からはゾンビのように心をもたないものへの恐怖が際だっています。これは時代によって、正常な心の働きを脅かすものが変化していることを意味するのでしょう。
ココロちゃんココロちゃん

教員からのコメント

私たちが日常的に手にする小説やマンガは、それが書かれた時代の人々の心を映し出しています。
ここでは「恐怖マンガ」を取り上げましたが、「恋愛マンガ」や「ギャグマンガ」についても考えることができます。
心理学の先生たち

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