高田 洋(たかだ ひろし)
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研究関心

民主主義、社会階層、計量分析方法論、社会調査方法論、数理社会学、計量社会学。
はじめの興味は、社会への数学的アプローチで、幸いなことにそのような教育を受ける機会にもめぐまれて、計量社会学や数理社会学に関心を持つようになりました。自らの研究を最初にまとめたのは、公共財の供給問題についてで、「どのような条件のとき、公共財のために人びとは自発的に協力するのだろうか」ということを、数理社会学的に分析したのがはじまりです。
この研究をまとめながら、計量的分析の方法論について、勉強を続けていました。そうしているうちに、ちょうど、1995年のSSM調査(社会階層と社会移動に関する全国調査)に参加させてもらうことになり、そこでは、サンプリングから計量分析までの社会調査全般について、多くのことを学ばせていただくこととなりました。計量社会学の分析によるその成果は、社会階層論を中心テーマとして、ライフスタイル、職業イメージ、社会移動についての研究として結実しました。
また、当初の関心であった公共財の問題は、「公共性」を経由して、「民主主義」という社会制度への関心にいたり、社会学的に民主主義を計量的に分析するということにまとまっていきました。現在では、「民主主義と社会階層」についての社会学的分析を第一の研究課題としています。この研究には、計量社会学や社会調査の方法論、数理社会学におけるモデル・アプローチ、社会階層や民主主義など、理論的・実証的な課題が多く含まれています。

共著
『社会を<モデル>でみる!−数理社会学への招待』、日本数理社会学会監修、土場学・小林盾・佐藤嘉倫・数土直紀・三隅一人・渡辺勉 編、第19節96-99頁、「なぜ『ちょっとした心がけ』は広がらないのか」、2004年3月。
『社会の見かた・測りかた−計量社会学への招待』、日本数理社会学会監修、与謝野有紀・栗田宣義・高田洋・間淵領吾・安田雪 編、第2章11節「殺人、犯罪機会、アノミー―時系列データから社会現象を予測し原因を調べる:ARIMAモデル」、2006年5月(刊行予定)。
論文
「集合財の最適供給と集団規模の効果−繰り返しゲームによるオルソン問題の検証−」、『現代社会学研究』、第6巻、51ー80頁、1993年4月。
「他者協力の期待と公共財供給」、『理論と方法』、第11巻1号、37-46頁、1996年7月。
「横断的国家分析における民主主義の指標とその問題点」、『東京都立大学 人文学報』、第319号(社会福祉学17)、77-98頁、2001年3月。
「職業イメージによる職業威信評定基準の分析」、『東京都立大学 人文学報』、第329号(社会福祉学18)、65-87頁、2002年3月。
「『家を持つこと』による階層意識と価値志向の関連性の変化」、『東京都立大学 人文学報』、第339号(社会福祉学19)、95-113頁、2003年3月。
「民主化の『第3の波』のその後の民主主義の安定と経済発展―交差相関による時系列分析−」、『東京都立大学 人文学報』、第350号(社会福祉学20)、45-64頁、2004年3月。
「他者への信頼と公共財供給」、三隅一百編、『フォーマライぜーションによる社会学的伝統の展開と現代社会の解明』、平成14〜16年度科研費補助金研究成果報告書、117-125頁、2005年3月。
経歴
1967年 北海道生まれ
1994年、北海道大学大学院文学研究科行動科学専攻 修士課程修了
2000年、大阪大学大学院人間科学研究科社会学専攻 博士後期課程修了
2000年、東京都立大学人文学部社会福祉学科 助手
2004年、奈良大学社会学部現代社会学科 専任講師