第15回 社会と情報に関するシンポジウム
ユニバーサルな社会とデザイン
日時:2005年7月23日(土)〜24日(日)
場所:札幌学院大学G館5階特別会議室
主催:札幌学院大学社会情報学部

第1日目 2005年7月23日(土)
 
        司会 長田博泰
10:00-10:15 挨拶
千葉正喜(札幌学院大学社会情報学部学部長)
 
10:15-12:00 講演1
「ユニバーサルデザインとインタラクションデザイン」
安村通晃氏(慶応義塾大学環境情報学部教授)
(講演内容)
ユビキタス社会を迎えて、幼児から高齢者・障害者まで情報技術の恩恵を受けるような社会の実現が望まれる。現実にはコンピュータを利用する際のバリアが存在するし、なによりもコンピュータ自身が利用者の前面から姿を消し、見えない形で支援することが望ましい。障害者を支援する方法論として、バリアフリーやユニバーサルデザインのような考え方がある。これらに加えて、個人の状況に合わせるアダプティブテクノロジーというような見方も重要になってくる。我々は、次世代インタラクションデザイン技術を用いて、高齢者・障害者にも役に立つインタフェースの研究を行なっている。これらの研究事例を通じて、ユニバーサルな人工物のデザインや個人や状況に適合したシステムのあり方などに議論してゆく。
 
12:00-13:30
休憩
 
        司会 高田 洋
13:30-15:15 講演2
社会構想と評価情報 −共生社会との係わりで−
三重野卓氏(山梨大学教育人間科学部教授)
(講演内容)
1970
年前後、わが国においては、広義の福祉(welfare)、「生活の質」(quality of life)への関心とともに、社会指標の構築、社会計画の策定が注目された。しかし、オイルショック、そして、経済的停滞のなかで、そうした議論は下火になって行った。諸外国では、その後、ニュー・パブリック・マネジメント(NPM)の流れの中で、政策評価・行政評価が注目を集め、近年、わが国においても、評価情報の開発、制度化がすすんでいる。社会をマクロに構想する場合、少子・高齢化のもとでの福祉社会のあり方、さらに共生社会のあり方が重要になる。そこでは、より具体的な福祉サービスの第三者評価、病院の機能評価などに着目しつつ、ユニバーサルデザインを含む社会制度の構想と情報化の関連について議論することが不可欠になる。本報告では、われわれが手がけている高齢社会の指標体系、共生社会の指標体系などに言及しつつ、多角的に検討を加えることにしたい。
 
15:15-15:30
休憩
 
        司会 諸 洪一
15:30-17:15 講演3

「ユニバーサルデザインの可能性と限界」
原田悦子氏(法政大学社会学部教授)
(講演内容)

どのようなモノであれ、「モノの使いやすさ」は、使う人の視点から見えるモノ、およびそのモノを使って解決しようとしている課題の「見え」に基づいて評価がなされている.これを認知工学研究では「パーソナルビューからの評価」とし、人にとっての使いやすさ研究の基本的な枠組と考える。本報告では、こうした認知工学の立場から、「高齢者にとっての使いやすさ」とは何かを考え、そこからユニバーサルデザインすなわち「誰にとっても使いやすいデザイン」という概念の実現は本当に可能なのか否か、その実現のために何が制約されてしまうのか、また、どのようなデザイン過程・評価が必要なのかを考えていきたい。その過程の中で、人がモノを使うということの意味、一般的な「人」という存在の可能性の有無、心理学とは何を研究するものなのか、といったテーマについても検討していく。

 
17:15-17:30 休憩
 
17:30-17:50  サマリートーク
祐成保志(札幌学院大学社会情報学部)
18:00-20:00 懇親会(G館5階文泉)

第2日目 2004年7月25日(日)
 
        司会 石井和平
10:00-11:30 補足講演
原田悦子氏,三重野卓氏,安村通晃各氏
 
11:30-12:30 フリーディスカッション
 
12:30 終了挨拶
長田博泰(札幌学院大学社会情報学部)