第22回 社会情報調査の方法に関する研究会

健康不安の広がる社会を問い直す  − 社会が健康化、科学化するとはどのような事態なのか

開催案内

日時:2008年3月1日(土) 13:30

場所:札幌学院大学G館5階特別会議室

 昨今の社会、「健康」に関する情報が過剰だと思いませんか。例えば、メタボリック症候群では腹囲の基準値が男子で85cm、女子で90cmと個人差を無視して一律に決められています。異常とされる血圧値の範囲も広がりました。何かおかしい。この素朴な感覚を社会学の視点を活かして掘り下げていくと何が見えてくるのでしょうか。医療社会学、医療人類学を専攻されているお二人の研究者をお招きして検討してみたいと思います。健康増進法は我々の生活に何をもたらしているのか、それは社会の心理主義化、あるいはグローバル化やネオリベラリズムの進展とどう関わるのか、など気になります。(コーディネーター:井上芳保)

報告1: 健康リスクを食べる − 「的確な誤読」への誘い

柄本三代子 (東京国際大学人間社会学部専任講師)

 健康(リスク)情報は、消費者の積極的読み込みに依存する部分が大であり、しかも人びとを的確に誤読させる必要がある、という話です。「的確な誤読」とは、「誰も言っていない『その』ことを確実に想起させる」という意味です。我々が日々身近に接しているテレビCMから具体的事例を挙げ、メディア分析の視点から説明します。(本人談)

報告2: 「生活習慣病」の作られ方 − 健康言説の構築過程

佐藤純一 (高知大学医学部教授)

 国家は「生活習慣病」キャンペーンに優れてイデオロギー的な意味合いを込めています。それは「健康の個人責任化」論であり、「病気の責任の個人化(自己責任)論」です。昨今のメタボリックシンドロームに関する言説、禁煙に関する言説などを例として「健康」が義務化される社会の問題点やその舞台裏を明らかにしていきます。(本人談)

会場写真
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