本調査の目的

 本調査「札幌市民のくらしとテレビに関する調査」は、メディア環境の激変する現在、札幌市民の皆さまが日常生活においてテレビを中心とする各メディアをどのように視聴・活用されているかを明らかにすることを目的としたものです。とりわけ、本調査の対象地である札幌市は、2006年6月にテレビ地上波放送のデジタル化がおこなわれ、2011年のアナログ波停波に至るまでの間、いわゆるサイマル放送の実施期間に入ります。

 さらに、2006年は、北海道におけるテレビ放送開始50周年にあたる年でもあり、札幌市のみならず、北海道メディア史上の節目の時期にあたっています。したがって、本調査は大きな文脈でいいますと、このような北海道メディア史における歴史的な転換期を捉えるとともに、北海道における市民生活レベルでのメディア利用史を明らかにし、さらに今後のメディア利用のあり方を探ることを目的としています。

 その一方で、本調査は、札幌市民の皆さまの日常的なテレビ視聴行動をはじめとする、メディア利用行動の「いま」により深く迫ることを目的としています。特に中心となるテーマは、慣習的、無意識的なテレビ視聴行動の実態と、その形成の要因を探ることです。例えば、私たちは外出先からの帰宅後、何気なしにテレビをつけ、リモコンでチャンネルを素早く切り替えて「落ち着き先」のチャンネル、番組を探すといった、いつもの視聴行動を繰り返してはいないでしょうか?あるいは、視聴者は、ご自宅の中のどんな室内環境で、どの時間帯に、誰とテレビ画面に向かっているのでしょうか?

 こうした疑問に取り組むには、テレビ視聴そのものについての調査だけではなく、普段の生活の様子についての複眼的な調査が必要になります。そのための工夫を盛りこみつつ、本調査では、札幌市民の皆さまの普段の生活とテレビ視聴のあり方がどのようにかかわり合っているのかを明らかにすることめざしました。

 調査結果は、学術研究および教育活動において活かしてゆくみならず、放送局等にも配布することで、北海道の放送文化・情報文化の発展に貢献できるよう多角的に役立ててゆきたいと考えています。また、調査結果のあらましを記した小冊子をご希望の回答者の方にお送りし、その内容をインターネットでも閲覧できるようにすることで一般市民の方々にも還元できるように努めて参ります。




札幌学院大学社会情報学部
       助教授 高橋 徹
       講師  祐成保志