研究概要
アメリカにおける労働者供給業は,およそ19世紀末から20世紀初頭にかけて,移民労働の利用と結びついて形成しました。この当時,アメリカ資本主義は,イタリア人,ギリシャ人などの南東欧からの移民や,中国,日本からのアジア人,さらにはメキシコ人の移民を利用することで,急速な発展が可能となりました。これらの移民は膨大ですが,その多くは全国の鉄道敷設やニューヨークの地下鉄などに見られる様々な都市建設,あるいは石炭,鉄,銅などの鉱業,そして西海岸では農業分野において就業しました。そして,かれらの大半はlabor contracting system(人夫請負制度)と呼ばれる雇用形態の下にありました。これがアメリカにおける労働者供給業の形成期にあたります。私の現在の研究対象は,これらの移民のうち,日本人によって形成された人夫請負制度について,詳しく調べています。