■対面講座
[講座番号7] 
モエレ沼公園の歩き方
イサム・ノグチの「レジャー空間の彫刻」を読み解く

定員/50名 受講料/3,600円(全3回)

(講座概要)
 20世紀を代表する彫刻家の一人とされる日系アメリカ人イサム・ノグチの最後にして最大の作品となったモエレ沼公園(札幌市東区)は、不思議な空間です。これは公園なのでしょうか、それとも現代アート?どちらも正解なのです。ただし、様々な巨大造形は、ノグチが1930年代以降、アメリカで実現を試みたパブリックアートを参照しないと読み解けません。本講座では、私自身によるアメリカでの取材・調査の成果である写真や資料をふんだんに紹介しながら、同公園は、札幌の人々が思い思いに楽しんでこそ、彼が目指したアートになるということを解説します。

(講座詳細)
テーマ/講座日時
内  容
1
二つの《プレイマウンテン(遊び山)》

5月10日(金) 【午後】13:30〜15:00

 1930年代、大不況に苦しむニューヨークで、ノグチは社会参加の芸術を模索し始め、 抽象彫刻でもあるレクリエーション施設という造形に至る。しかし実現できないまま、死の直前、同じタイトルの造形を札幌で制作する機会を得た。二つの作品の違いと共通性を考察する。
2
《テトラマウンド》という枯山水

5月17日(金) 【午後】13:30〜15:00

 1970年代、自動車産業衰退で荒廃するデトロイト都心の再生を願って、ノグチは巨大な噴水彫刻を完成させる。モエレでは、水が吹き出すことがない「噴水」造形をデザインした。この何とも奇妙な築山の意味を考える。
3
「空から見る芸術」としての《モエレ山》

5月24日(金) 【午後】13:30〜15:00

 巨匠となったノグチは、札幌郊外の廃棄物処理場にフォルムを与えることこそ「僕のやる仕事です」と言い切った。死を予感しながらも、彼はなぜ、ゴミの山を築くことに執念を燃やしたのか。解釈が難しい、この造形の謎に迫りたい。
講師/北海道芸術学会員 児玉 哲明
講師
紹介

児玉 哲明(こだま てつあき) 北海道芸術学会員(アメリカ20世紀美術研究)、ジャーナリスト。1955年広島県生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業後、朝日新聞社に入社。北海道支社報道部、東京本社社会部の記者として、幌延高レベル放射性廃棄物貯蔵施設誘致問題、昭和天皇闘病と逝去、東京臨海副都心開発などの報道に携わる。同社退職後、放送大学大学院で修士号取得。修士論文は「レジャー環境の彫刻 1930年代ニューヨークとイサム・ノグチ《遊び山》」。国内外のパブリックアートやモニュメントの研究を続けながら、これらを題材にした歴史・美術教育のあり方を探っている。



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