■対面講座
[講座番号8] 
虐待・愛着障害・家庭内暴力・発達障害・場面緘黙・ひきこもり支援の最前線─当事者性を抱える若者たちの支援実践から─
定員/50名 受講料/2,400円(全2回)

(講座概要)
 企画者である二通は札幌学院大学在職時に、発達障害や精神的な困難を抱える学生たちと『雑談会』(2011年6月〜2020年2月)と称する学内自助グループを運営していた。本企画は、『雑談会』を自己形成の場の一つとしていた二人の若者の人生の軌跡と、現在進行中の当事者性を活かした支援実践にフォーカスしたものである。いかにして、自分史におけるネガティブなものがポジティブなものへと反転するのか。その手がかりを探る。

(講座詳細)
テーマ/講座日時
内  容
1
自分史をふまえたピア・サポーターの実践
─そこから見える社会の課題─


6月1日(土) 【午後】13:30〜15:00

 困難多き人生を歩まざるを得なかった私。その要因は個人だけではなく社会にもあった。そんな当事者としての経験と、“当事者性”を支援活動の基盤とする「ピア・サポーター」としての実践を語る。「普通」という社会的価値観では、現在の職には辿り着けなかったということも伝えたい。ピア・サポーターの視座から多様性が尊重される社会の実現への展望を語る。

講師/
場面緘黙・不登校・ひきこもり経験者、
さっぽろひかり福祉会ピア・サポーター

大橋 伸和
2
子どもと家族を覆う貧困と虐待
─自分史を支援実践に反転させた取り組みから見えてきたこと─
※大橋、二本松、二通の鼎談を含む


6月1日(土) 【午後】15:20〜17:20

 実母の精神疾患による暴力に耐え、生活をサポートせざるを得なかった幼少期。自身の16歳の誕生日に両親が離婚。父親と暮らすも生活費はなく、高校も不登校気味となり、拒食症を経験した。大学進学後に自身の子ども期の経験は虐待であると認識した。二通教授との出会いをきっかけに子ども支援の世界に飛び込む。子ども食堂の開設や研究、児童相談所の勤務経験を得て、地域の大人や支援者は「困っていそうな子ども」をどのように発見し、関わることができるかを検討する。

講師/
被虐待経験者・愛着障害自認者、
元児童相談所一時保護所職員、
認定NPO法人おてらおやつクラブ職員

二本松 一将
コーディネーター/札幌学院大学名誉教授 二通 諭
講師
紹介

大橋 伸和(おおはし のぶかず) 1984年札幌生まれ。小学4年生で発症した場面緘黙症は13年に及び、その間、不登校・ひきこもりを経験。場面緘黙症を克服した後も、鬱病、相貌認知障害、音過敏などに苛まれる札幌学院大学時代に教員の二通と学内自助グループ『雑談会』を立ち上げ,卒業後はいくつかの機関(札幌市集団型支援拠点「よりどころ」、特定非営利活動法人レター・ポスト・フレンド相談ネットワークほか)で、ひきこもり等の支援実践を積み、現在は社会福祉法人さっぽろひかり福祉会でピア・サポーターとして相談業務や講師活動を行っている。主な論文として「場面緘黙とひきこもり−自分史をふりかえって−」(日本特別ニーズ教育学会『SNEジャーナル』第24号)がある。

二本松 一将(にほんまつ かずまさ) 1994年東京都江戸川区生まれ。16歳の誕生日に両親が離婚。親から棄てられるも寿司屋で働き、高校を卒業。奨学金を活用して東京から単身、札幌学院大学に入学。大学での学びをとおして、自身に虐待由来の愛着障害性があることを発見。「子ども食堂ここなつ」の学生代表を経て、「子ども食堂」研究に打ち込み、「子ども食堂」関連の講演活動を旺盛に展開。さらに、児童相談所一時保護所夜間指導員として6年間で500人以上の子どもたちとかかわる。現在は認定NPO法人おてらおやつクラブ事務局員として、お寺の「おそなえ」を仏さまからの「おさがり」として、全国の子ども支援団体や、さまざまな事情で困りごとを抱えるひとり親家庭の子どもたちへ「おすそわけ」する活動に取り組んでいる。主な論文として、「被虐待経験による愛着障害性の克服の一考察 −自己対象化による記憶と感情の再体験を手掛かりにして−」(『道民教紀要みんきょう第134号』)、「北海道における子ども食堂の現状と課題」(『道民教紀要みんきょう第135号』)がある。

二通 諭(につう さとし) 1951年2月札幌郡手稲町生まれ。1974年北海道教育大学札幌分校卒業後、石狩管内小中6校で35年間の教員生活を送り、2009年から札幌学院大学教員として主に特別支援教育関連科目を担当。2011年6月より、札幌学院大学において、発達障害や精神的な困難を抱える学生の自助グループ『雑談会』を立ち上げる。2019年より札幌学院大学名誉教授。2021年10月より札幌大谷大学社会学部地域社会学科特任教授。単著として 『映画で学ぶ特別支援教育』(2011/8/25) 『特別支援教育時代の光り輝く映画たち』(2015/8/9)などがある。長期連載中の「映画に見るリハビリテーション」(医学書院:『総合リハビリテーション』)は27年、322本に達している。



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