■オンデマンド講座
[講座番号3] 発達障害のある人が抱える困難と可能性を考える
─〈だれもが生きやすい社会〉をめざして─

配信期間/11月1日〜2022年2月28日 受講料/3,000円(全3回)



(講座概要)
 だれもが生きやすい共生社会の実現が叫ばれて久しい昨今、発達障害者をめぐる状況はどうなっているでしょうか。未だに、総論では「包摂」、各論では「排除」という矛盾に晒されているのではないでしょうか。本講座では、発達障害由来の失敗、成功のエピソードを手がかりに、周囲の適切な理解と対応、本人の努力と工夫の課題について考えていきます。

(講座詳細)
テーマ
内  容
1
〈ものづくり〉は対人過敏とひきこもりという困難を打開する
 労働場面で怒りの衝動が抑制できず、暴言・暴力になる対人過敏。全力を尽くし、疲れ果て、ひきこもりに至るほどの過剰適応。発達障害者の職場における適応過程には、どのような困難が生じるのでしょうか。規則性、勤勉性に優れている一方、対人関係に脅かされている人たちの可能性を〈ものづくり〉の視座から考えます。
講師/ハローワーク札幌東精神障害者雇用トータルサポーター 山内  茜
コメンテーター/第2ひかり工房施設長 井 賢二
コーディネーター/札幌学院大学名誉教授 二通  諭
2
支援は続くよどこまでも
─自己を超えた他者共生への道
 むぎのこが培ってきたこと、それは、障がいのある子もない子も、困り感を感じる子どもと家族との出会いを通して、ひとりひとりが輝き、互いに認め合い尊重し合える未来を作り上げていくことです。〈癒された人が癒し人へ〉という循環を作り上げてきた〈むぎのこの今〉をとおして課題に迫ります。
講師/むぎのこ卒園者・職員 岩田 梨花
コメンテーター/麦の子会理事長 北川 聡子
コーディネーター/二通  諭
3
障がい児支援の方法は職場の多様性にも生かせるか?
─支援する側、される側でない関係性の中で─
 療育の現場で支援者が子どもに翻弄されるのはある意味醍醐味。それが職場のチームの一員に翻弄されるとなると別の話になります。言葉を字義通り受け取り、思ったこと感じたことを配慮や〈適切な加工〉もなく表出する傾向は、時に関係のひび割れを招き、互いの心身の不調の要因にさえなります。そんな職場のリアルな悩みをとおして、発達障害の人と共に働くことの意義や課題、今後の展望について考えます。
講師/楡の会福祉部部長 金子  志
コメンテーター/楡の会総合施設長 加藤 法子
コーディネーター/二通  諭
講師
紹介

二通 諭(につう さとし) 1951年2月6日札幌郡手稲町に生まれる。1974年北海道教育大学札幌分校卒業後、石狩管内小中6校で35年間の教員生活を送り、2009年から札幌学院大学教員として主に特別支援教育関連科目を担当。2019年4月より札幌学院大学名誉教授。2011年、札幌学院大学において、発達障害や精神的な困難を抱える学生の自助グループ『雑談会』を立ち上げる。著書として『映画で学ぶ特別支援教育』(2011/8/25)、『特別支援教育時代の光り輝く映画たち』(2015/8/9)がある。連載「映画に見るリハビリテーション」(医学書院:『総合リハビリテーション』)は24年293本に達している。

井 賢二(たかい けんじ) 1962年横浜市生まれ。立教大学法学部法律学科卒業。社会福祉士。触法知的障害者入所更生施設、通勤寮等の勤務を経て、北海道農業に憧れ1992年壮瞥町に移住。自閉症の青年たちを雇用する農場にて10年間共働。社会福祉法人さっぽろひかり福祉会「第2ひかり工房」施設長。

山内 茜(やまうち あかね) 北星学園大学社会福祉学部卒業。社会福祉士。ジョブコーチ(職場適応援助者)。障害者就業・生活支援センター、北海道障害者職業センター、就労移行支援事業所にて障害者雇用の就労支援に携わる。2013年に北海道労働局に入職し、障害者雇用の啓発事業に従事。現在は札幌東公共職業安定所にて精神障害者雇用トータルサポーターとして勤務。

北川 聡子(きたがわ さとこ) 1983年北星学園大学社会福祉学科卒業と同時に麦の子学園を立ち上げる。2005年、アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院日本校臨床心理学研究科修士課程修了。子どもの発達支援と家族支援に関わる。社会福祉法人麦の子会理事長・総合施設長。公認心理師。保育士。共著に『子ども家庭福祉における地域包括的・継続的支援の可能性』(2020)、『子育ての村ができた! 発達支援、家族支援、共に生きるために―向き合って、寄り添って、むぎのこ37年の軌跡』(2020)がある。

岩田 梨花(いわた りか) 1歳半健診で言葉なく、人に興味を示さず、静療院(現ちくたく)を紹介され、自閉症と診断を受ける。1歳8か月でむぎのこに入園。中学校で不登校を経験し、札幌大谷大学芸術学部で幼い頃から好きだった絵を学び、2018年卒業。現在はむぎのこの職員として、生活介護事業所で絵を活かして、利用者さんの気持ちに寄り添い支援を行っている。

加藤 法子(かとう のりこ) 帯広大谷短期大学社会福祉学科卒業。保育士。介護福祉士。保育園、母子通園施設勤務を経て、1993年社会福祉法人楡の会の職員となる。障害児の療育・発達支援、重症心身障害児者の支援に携わる。楡の会総合施設長および理事。

金子 志(かねこ ゆき) 光塩短期大学保育科卒業。保育士。卒業と同時に楡の会に入職。障害児療育において、様々な支援のアイデアをもって実践し、本人のこだわりを強みに変える支援技術は秀逸。現在楡の会福祉部部長および理事。北海道サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者研修会の講師、ファシリテーターを務める。



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