心の手帳 37号(2012年2月)

晴れた冬の日

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 今年も沢山雪が積もりました。大吹雪の日も何度かありましたが、雲ひとつない青い空を見ることができた日は、とっても気持ちが良いですよね。
 ですが、晴れているのに気温は低くて、とっても寒かったりする時があります。そんな日は、「寒い…」と少し体を縮こませながらも、青い空を見ながら歩いていると、私はなんだかうきうきしてきて、「今日は良いことありそう!」と少しだけ幸せな気分になってしまいます。
 晴れた冬の日、皆さんはどんなことを感じていますか?

卒業

井手 正吾 〔心理臨床センター研究員・臨床心理学科教授(臨床心理士)〕
 北海道の厳しい冬が終わりに近づいてくると、卒業の時期となる。
 幼稚園から大学まで、あちこちの学校で卒業式や卒業のお祝いが賑やかに行われる。
 卒業とは、何らかの「なりわい(業)」にしめくくりをつけてひとまず「おえる(卒)」ことであるそうだ。そういう意味では、ある仕事を辞めて新たなところへ移っていくことも卒業であろう。また、心理的な問題をもって当センターに相談に訪れた方が、なんらかの区切りをつけて面接を終結するのも卒業といえよう。

   何かをそれなりに成し遂げ、新たなところへ旅立っていくことは、出立する者にとっても、送りだす者にとっても、嬉しく喜ばしいところである。賑やかに祝うべきことである。

 だが、卒業というものは、ひとつの別れでもあり少し複雑である。確かに卒業式には涙もつきものだ。「会うは別れの始まり」という言葉や「さよならだけが人生だ」という詩の一節があるように、人には別れというものは避けられない。そして、別れは「愛別離苦」というように辛く苦しいものでもある。

 確かに、人生には死別、離別を始めとして色々なかたちの別れがある。その中で、卒業というのは幸せな別れなのかもしれない。多くの場合、次の出会いがあるからだろう。だから、賑やかに祝うのかもしれない。多くの場合、次の出会いがあるからだろう。だから、賑やかに祝うのかもしれない。

 小生、年をとりこの世から卒業するのも近いのだろうが、教員や臨床家として、送り出すことが多くなった。教え子や相談に来られた方の卒業を嬉しく思う反面、卒業する者の先行きをいろいろ心配したり、卒業していく者への自分の関わりへの反省や悔やみばかりが浮かんでくる。
 卒業の時期がおわり、春がすすむと北海道をおおっていた雪はとけ大地に陽が差し草花が戻ってくる。そして、入学や入社などの新たな出会いの時期となり、さらに季節は巡っていく。

実習生(大学院生)のつぶやき

 「最近、集中力がなくなってきているなぁ。」と感じることが多いです。「何とかしなければ…」と思いながらも、すぐに何とかできるものではありません。

 そんなある日、父から、のし袋の表書きを書いて欲しいと頼まれました。というのも、私は16年間書道を習っていたので、のし袋の表書きは私が筆で書くこともしばしばあります。久しぶりに書いてみると…とてつもなく下手くそになっていました!久しぶりにといっても、前回表書きを頼まれてからは2ヶ月ほどで、書道を習うのを辞めてから1年くらいです。それでも、それなりに書く練習をしていなければ、やっぱり腕は落ちていくのですよね。私はとてもショックを受け、「前はそれなりに書けていたのに…」と嘆いていると、「続けてやらないからだ! たまにでも良いから少し練習しなさい。」と、父から言われてしまいました。

  思い返してみると、書道を習っていた頃は週に一度、大体二時間くらいは集中して半紙と向き合っていたものです……ん、そうか!! 私って前は二時間も集中してやれていたんじゃない!と思い、集中力と綺麗な字を取り戻すため、これからは家で練習しようと決意。

  …とは忍耐が必要で、なんだか大変そうなイメージがることに気がつきました。皆さんはどんなイメージがありますか? 私の場合、どこかに楽しさを感じながらやれていないから、なかなか続けられていないような気がします。そう考えてみると、「集中力」も楽しみながらやっていれば   持続するかもしれませんね。これから、何事にも楽しさを見つけて楽しみながらやっていこうと思います。
(R.A.)

イラスト:ふわふわ。り

 
挿絵