心の手帳 50号(2016年6月)

雨の日のおはなし

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 今年はたくさん雨が降るなあと思います。これが蝦夷梅雨というものなのでしょうか。「今日はおひさまに会いたいんだよなあ」と思う日もありますが、せっかくなので、雨の日の中にある素敵なものを探してみました。たとえば、傘を忘れた日、まつげやメガネに水滴がぽっと乗って、いつもより景色がキラキラして見えること。みんなの傘が広がって、たくさんの花が咲いているみたいに見えること…。けれど、悲しいことがあって、「空が一緒に泣いてくれるから私は今日も息ができるなあ」と思う日もあったりします。雨の日も、雨じゃない日も、いろいろな過ごし方があるのかもしれません。あなたは、今日という日をどんな風に過ごしていますか。

江別の四季

宮崎 友香〔心理臨床センター研究員・臨床心理学科教員(臨床心理士)〕
 仕事柄、お話を伺ったり、人前でお話をしたり、パソコンで作業をしたりと室内で過ごすことが大半で、その日のお天気の変化すら気づかずに一日を終える生活を長年続けてきました。そんな私が本年4月より本学に着任し、心魅かれているのは、江別の自然の豊かさ、季節の移り変わりです。研究室からは広大な大地と山々が見え、ノスタルジックな夕焼けが一日の終わりを教えてくれます。研究室からも学内にある満開の桜並木、新緑の萌黄色が目に優しく映り、だんだんと研究室に西日が強くさす季節になり、窓を開けると虫の音が心地よく聴こえてきます。よさこいの頃にはよさこいチームの演舞、校庭でのにぎやかなバーべキューの音が聴こえてきて、学生さんの活気を微笑ましく思います。まだ雪深い江別の冬を経験しておりませんが、生粋の道産子としては冬の静けさや雪のきらめきもまた一興と楽しみにしています。
 このように、慌しい生活の中でも自然を、季節を五感で感じることの大切さを、江別の豊かな自然が教えてくれました。人だけがこのように大きな頭脳を持ち、大変便利な近代社会を生み出しましたが、同時に自然が減り、複雑な悩みも生み出しました。みなさんは、ご自分の悩みとどのようにつき合っておられますか?ここで試しに、悩みへ向けていた注意を、窓の外を見て、外の音を聴いて、外の空気を吸い味わって、自然に触れることに移してみてください。心はどう変わりましたか?このように、最近の心理学では、注意をどこに向けるかによって気持ちが変わるといわれています。注意を心の内側から五感を使って外に向けること、何気ない日常でも心は動くことを江別の自然から改めて教わりました。自然の少ない場所でも、ちょっと外に目を向けて、外の空気を吸う、光をあびる、季節や天候の変化を感じるだけでも違うと思いますので、みなさんも生活の中で五感タイム始めませんか?

実習生(大学院生)のつぶやき

挿絵
 先日、ハーフマラソンを走ってきました。沿道からは「ガンバでーす」、「ファイトー!」と小さい子や運転中のドライバーの方たちまで沢山の方々が応援してくれて、とても嬉しく力になりました。その中で印象的だったのは、うちわで風を送りながら朗らかな笑顔でかけてもらった「疲れたらやめてもいいんだよ~」という言葉。沢山の「頑張れ」という言葉で前に進んでいた私でしたが、脚が軽くなり、さらに前に進めたような気がします。
 沢山の「頑張れ」の中にある、肩の力を抜いて気楽にいこう!と思わせてくれる言葉。たまには、そんな声かけもいいなと思った瞬間でした。
 
(M.S.) 
 
 
イラスト:ふわふわ。り