心の手帳 58号(2019年2月)

春の訪れ

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 寒さが少しずつ緩み、春の温かい日差しを感じられる日が増えてきました。春は温かさと共に出会いと別れを連れてきます。センターに来談された方も私たち実習生もそれぞれの旅立ちや新たな出会いに不安や緊張を抱えているのではないでしょうか。以前、私が習っていたお稽古事の先生は別れの時に短歌を詠んで下さいました。当時はその意味を深く考えることはありませんでしたが、大人になり出会いと別れを繰り返すこの季節になると、その短歌が毎年のように頭に浮かぶようになりました。別れを悲しむ気持ちも新しい出会いに緊張してしまう気持ちも、教えてくれる誰かがいるからこそ芽生えてくる気持ちなのかもしれません。

占い

山本 彩〔心理臨床センター研究員・本学教授(臨床心理士)〕
 心理学に携わっているのに怒られそうですが、私は占いの影響を強く受けてしまいます。特に嫌なことが書いてあると、恐ろしくて恐ろしくてたまりません。そんな感じですので、基本的には絶対に占いを見ないようにしますし、TVや雑誌で不意に目に飛び込んできたときには大急ぎで目をつむりやり過ごすようにしています。そんな私だったのに、疲れ切っていたのでしょうか、新年明けてすぐに乗った飛行機の中で、航空会社の読み物の中の「今年の干支占い」を思わず読んでしまいました。そしてその内容はあまりよくないものでした。占いがあたったのか、影響されたのか、なんでも結び付けて考えているのか、たまたまなのか、関係性はわかりませんが、占いのとおり、私にとって消耗する出来事が今年に入っていくつもおきています。「占いのとおりだ・・・」「今年1年これが続くのか・・・」と昨日まで気分がどんよりしていました。「がんばってもがんばっても嫌なことがやってくるなんて」「やってられないよ」など、大げさかもしれませんが、半ばヤケのような気持ちにすらなっていました。が、今朝当たりから、自然に、少し考え方や気分が変わってきました。「確かに自分にとって嫌なことが続いた。でもそれは、今までの自分には足りない部分があったからこそ起きたことだ。おかげで自分の見方ややり方が変わり一回り大きくなれたかもしれない」「世の中には、もっともっと理不尽な目にあっている人(動物・環境含めて)がいるかもしれない。自分ができることをしていきたい」。気分も前向きになってきています。そして何より、思い出しました!占いには最後にこう添えてあったのです。“ただしクリエイティブな仕事をしている人にとっては最高の1年になるでしょう”。そうだ!クリエイティブな仕事をすればいいんだ!なんだか一人で占いに翻弄され、落ち込んだり、元気になったりしている自分が滑稽に感じる今日この頃です。

実習生(大学院生)のつぶやき

「自分のことを信じられなくなったら、周りの人を信じる。」友人から言われて大事にしている言葉です。その当時、自分の悪い面や至らない点ばかりが目につき、自分のことなんて到底信じられないと思っていたのですが、この言葉が驚くほど自然に自分のなかに入ってきました。自分を信じないということは、自分を評価してくれた人を信じないことにも繋がるのだと気づき、自分のことを信じるのは難しくても、自分が信頼している人の言葉であれば信じられるとも感じました。それ以来、周りの人を信じることで、少しずつ自分を認めることにも繋がったと感じています。人それぞれに心に響く言葉は違うと思いますが、その人にとって少しでもプラスとなる言葉がけができるようになりたいと思っています。(A.T)