心の手帳 60号(2019年10月)

秋の空

 一雨ごとに寒くなる今日この頃、皆様お元気でお過ごしでしょうか。冷たい雨が降る日もあれば、風の強い日も、快晴の日もありますね。中でも秋晴れの空はきれいに見えます。この理由、なぜだかご存じですか?これは「空の透明度」からそう言われているそうです。夏から秋にかけて、日本は中国大陸から移動してくる高気圧に覆われて晴れるようになります。大陸育ちの高気圧は空気中に含んでいる水蒸気の量が少ないため、空の青さが濃く、澄んで見えるそうです。また、「女心と秋の空」や「男心と秋の空」と言われるように、お天気が変わりやすいのもこの時期の特徴です。一瞬の美しい空や雲を、たまにはぼんやりと観察してみるのも、秋ならではの楽しみかもしれません。皆様の心も江別の秋の空のように、すっきりと晴れる日がありますように。

さくら友蔵の精神~当たり前のことがわからない~

小林 茂 〔心理臨床センター研究員・本学准教授(臨床心理士)〕
 札幌学院大学心理臨床センター相談室が刊行する「心の手帳」という季刊誌にコメントを書いてほしいという大学院生からの依頼が来た。「長く生きていれば、いろいろな依頼が来るものだなぁ。」と思いつつ、依頼相手の実力を見誤っていないかと、そのアセスメント力を疑う。内心、「今後、アセスメントの授業は、いっそう厳しくしないと…。」と自分が受け持つ授業でないことを良いことに私は固く誓ったのであった。さて、本題の「心の手帳」の話ではあるが、真っ先に「心の…」というフレーズで思い出すのが、さくらももこ氏原作のアニメ“ちびまる子ちゃん”に登場する、まる子ちゃんのおじいちゃんである友蔵さんの“友蔵の心の一句”が思い浮かぶ。私の場合、心理学部の教員だからといって「心の…」という言葉に「心の健康」「心の教育」というところに連想がいかなったのであった。大学教員1年目にして道を踏み外している現実に自分のことながら愕然とする思いがした。だが、取り繕っても、後で後悔するだろう。厳しくとも現実を直視し、はやばやとかっこいいことは述べないとあきらめた。これが私の実情である。“友蔵の心の一句”に、「道問われ汗道教え子と歩く」という名句があるが、研究や教育畑で身を置いてきた者と違い、専門外でわからないことも多い。学生から「学食で何がおいしいか」と真剣に聞かれたとしても答えられない。むしろ、教えてほしい。結局、ない知識、ない教養とは自分が問われないと気づかないものであったり、使う必要に立たされて初めて意識されるものだといえる。学生の問われて冷や汗をかきながら、学生と一緒に学びながら進むよりほかない。学生と対話する中で、学生が何をわからないでいるかという疑問も含めて、学生と一緒に知識を深めていけたらと願っている。
  

実習生(大学院生)のつぶやき

 最近は「推し」という言葉が使われているのを目にします。よくアイドルやアニメのキャラクターなどにおいて好きな人を指して言います。「ファン」と表現したほうが伝わるかもしれません。この「推し」がいる毎日はとてもいい物だと思っています。どれだけ疲れていても、へこむような日があっても、「推し」を見るだけで、いや、思い出すだけで元気になれる、癒される、明日も頑張ろうと思える、そんな存在がいるとどんなことだって頑張れちゃうような気がします。アイドルやアニメのキャラクターじゃなくてもいいんです。身近な誰かでも遠い存在でも、憧れのあの人、守りたくなるあの人など、皆さんが頑張れるような心の栄養剤、心の応援団そんな「推し」はいらっしゃいますか?(M.M)