FD活動報告
全学、学部学科、教職員グループ、教員個人レベルなど、いろいろなレベルでのFD活動を紹介します。
学部学科/研究科の取組状況
学部学科/研究科で組織的に取り組む教育改善活動を紹介します。
『2011年度自己点検・報告書』に見る教育改善活動の取組 ・・・(PDFファイル151KB)
『2012年度自己点検・報告書』に見る教育改善活動の取組 ・・・(PDFファイル159KB)
『2013年度自己点検・報告書』に見る教育改善活動の取組 ・・・(PDFファイル223KB)
『2014年度FD活動報告書』
経営学部
経営学科・会計ファイナンス学科
経済学部 経済学科
人文学部 人間科学科
英語英米文学科
臨床心理学科
こども発達学科
法学部 法律学科
社会情報学部 社会情報学科
『2015年度FD活動報告書』
授業改善とFDに関する教員アンケート(2011年1月)
FDセンターの活動計画を検討するための基礎情報を収集することを目的に、専任教員と非常勤講師を対象にアンケートを実施しました。
このアンケートを通じて、教育実践の現状と大学への期待・要望が浮かび上がってきました。例えば、今、FD活動として求められているものは、教員相互の経験の交流や新たな知の創出を促す場であったり、個々の教員が自主的に授業改善を進める上で有用となる指針やマニュアルであったりすること(報告書7ページ)。あるいは、学生の学習意欲を喚起するために多くの教員がそれぞれ創意工夫に富んだ優れた取組を展開していること。しかし、その一方で、「ラーニングアウトカムズ(学生の学びの成果)」を中心とした目標設定と授業設計、達成度評価に関してはそれほど意識的に取り組んでいる様子は認められなかったことなどです(報告書3ページ)。
FDセンターでは、アンケート結果をもとに取り組むべき課題を精査し、本学の教育目標達成のため、FD活動の実質化を図ってまいります。
「授業改善とFDに関する教員アンケート」報告書 (PDFファイル695KB)
※)
学内ネットワーク(研究・事務)からのみ閲覧可
学修行動調査
IR専門分析委員では、2012年度入学生より入学後半年が経過した時点と1年半が経過した時点での学生の学修行動や経験、振り返り、その時点での期待や不安、満足度等を収集しました。
さらに、学生情報データベース上で管理する成績情報(各学期のGPA(Grade Point
Average))と照合することによって学修状況との関係、その変容を明らかにすることを試みました。
「2年生(2019年度入学生)学修行動調査の集計結果報告書」(PDFファイル1,451KB)
「2020年度新入生意識調査結果報告書」(PDFファイル3,164KB)
「2年生(2018年度入学生)学修行動調査の集計結果報告書」(PDFファイル869KB)
「2019年度新入生意識調査結果報告書」(PDFファイル2,535KB)
「2年生(2017年度入学生)学修行動調査の集計結果報告書」(PDFファイル899KB)
「2018年度新入生意識調査結果報告書」(PDFファイル1,348KB)
「2年生(2016年度入学生)学修行動調査の集計結果報告書」(PDFファイル1100KB)
「2017年度新入生意識調査結果報告書」
(PDFファイル1,329KB)
「2年生(2015年度入学生)学修行動調査の集計結果報告書」(PDFファイル324KB)
「2016年度新入生意識調査結果報告書」(PDFファイル388KB)
「2年生(2014年度入学生)学修行動調査の集計結果報告書」(PDFファイル405KB)
「2015年度新入生意識調査結果報告書(PDFファイル495KB)
「2014年度学修行動調査結果(2013年度入学生を対象に)」報告書(抄録版) (PDFファイル989KB)
「2014年度学修行動調査結果(2013年度入学生を対象に)」報告書(完全版) (PDFファイル2,576KB)
「2013年度学修行動調査結果(2012年度入学生を対象に)」報告書(抄録版) (PDFファイル1,034KB)
「2013年度学修行動調査結果(2012年度入学生を対象に)」報告書(完全版) (PDFファイル2,112KB)
※)
学内ネットワーク(研究・事務)からのみ閲覧可
学外シンポジウム、研修会等参加報告
学外で開催されるシンポジウム、研修会への参加報告です。タイトルをクリックすると閲覧できます。
2014/3/8
平成25年度札幌市立大学公開フォーラム参加
札幌市立大学は文部科学省の「平成24年度産業界のニーズに対応した教育改善・充実体制整備事業」に採択された。東北・北海道の17校が連携し、「産官学連携による地域・社会の未来を拓く人材の育成」という共通テーマで東北・北海道に貢献する人材育成に取り組んでいる。取組の観点は次の5つである。
⋅ 将来目標を具体的に持たせる
⋅ 地元を含めた社会・企業理解
⋅ 学業や学生生活と社会・未来とのリンク
⋅ コミュニケーション能力・行動力・思考力等の育成
⋅ 東日本大震災の復興支援
今回のフォーラムの目的は、採択後2年間の取組の成果をもとに次年度(最終年度)に向けた課題を整理し、参加者とディスカッションを通じてさらなる成果の獲得を目指すことにあった。
<所感>
以下の5つの取組事例が紹介された。特に参考になったのは「B.
往還型(シャトル)研修及びワークショップ型インターンシップの実施」である。学部を卒業した新人看護職員を対象に「お元気ですか?」「へこんでいませんか?」研修を実施し、近況報告や情報交換の場を設ける。あるいは、卒業生を対象とした研修「自分らしくキャリアアップ!
みつけよう、私の看護師キャリア」を開催し、自身のキャリアをあらためて考えさせる場を提供する。これら卒業後のフォローアップ研修を通じて、大学での学びの重要性を認識した卒業生が、今度はキャンパスを訪れ、在学生のスキルアップトレーニングに貢献する。このように、卒業生という豊かなリソースを活用した往還型の教育改善の取組は、看護学科だからこそ実現できるのかもしれない。しかしながら、このプログラムの本質的な考え方をうまく適用することで、本学の学部教育をよりよいものにする可能性を感じることができた。
A.
実務家教員による学修プログラムと早期キャリア教育の実施
B. 往還型(シャトル)研修及びワークショップ型インターンシップの実施
C.
ポートフォリオを活用したキャリア支援教育体制の構築
D. 卒業生の動向調査とキャリアデータベースの構築
E.
大学・企業連携グループ会議による地域キャリア連携体制の強化
教務部・斉藤和郎(2014年3月8日)
2013/11/25
「平成25年度北海道地区FD・SD推進協議会総会」参加
標記の総会に出席した。あわせて特別講演を聴講し、テーマ別セッションに参加した。これを通じ、本学におけるSDの推進ならびにアクティブラーニングの展開に関する示唆を得ることができた。
<総会>
次の提案が行われ、いずれも異議なく承認された。
「平成25年度活動報告について」、「平成26年度事業計画について」
<特別講演>
講師の横田利久氏は中央大学の元職員で、キャンパス移転、学部新設、研究開発機構創設、中長期事業計画策定、附属中高合併等の大学改革に参画するとともに、大学行政管理学会会長や私大連業務創造研修運営委員長等を歴任し、大学職員の能力開発に高い見識を有する。
横田氏の主張は「教員に信頼されながら協働し、人・業務・組織・制度・資金その他の資源とシステムをマネジメントして大学の使命達成に貢献する、プロフェッショナリズムにあふれた職員」こそが求められている、というものであった。特に、教員の信頼を得て協働することの重要性、信頼を得ることの難しさ、そして協働が実現したときの大学改革の可能性について、数々の実体験(挑戦、成功・失敗、教訓)が披露され、説得力の高い解説が行われた。
なお、多くの大学でSDが実質化しない要因として、ミドル層(中間管理職)が人材育成の役割を発揮していない現状が指摘された。本来、部課長は「事業計画の達成」と「部下の育成」という2つの使命を担わなければならない。しかしながら、部課長自身がプレイイング・マネージャーとして(個人として)前者に注力しすぎるあまり、部下の力量アップや組織力の向上という高次の観点から事業全体を捉えることができない。つまり、部下とともに課題に向き合い、チームとしてビジョンを共有し、その実現に向けたアプローチを探求する、あるいはその成果を点検し改善につなげていく、といった組織的な取組をマネジメントする余裕がない。これでは、業務経験を通じた職員の能力開発(OJT)は実質化しない。
<テーマ別セッション>
14大学から16名が参加し、各大学のアクティブラーニングの取組について情報交換が行われた。
各大学とも、多様なアクティブラーニングに挑戦していることがわかった。例えば、数年間のスパンで学外施設の改修に取り組み、多方面の専門家との交流を通じて応用的なコミュニケーションスキルを獲得する取組。あるいは、他大学と連携した地域再生プログラムを企画し、農村での農業体験を通じて社会の現状とそこに存在する課題を認識する取組など。
各大学の取組を知り、現実の文脈を取り入れることの教育的効果について認識を深めた。その一方で、こういった高度な教育実践が学部学科で組織化されず、教員個人の取組にとどまっている現状が浮き彫りになった。継続性、持続性をどう担保していくか、この課題に向き合うことが求められている。
教務部・斉藤和郎(2013年11月25日)
2013/10/18
小樽商科大学アクティブラーニングサポートセンター開設セレモニー等参加
「実学」をモットーとする小樽商科大学では、passive
learning(受動的な学び)の反意としてのactive
learning(能動的な学び)の導入を全学的に推進している。模造紙とホワイトボードを活用したPBL(Problem Based
Learning/問題解決型授業)から始まったactive
learning環境の整備事業であるが、徐々に情報技術(ICT)を組み入れ、補助金と学長裁量予算を活用した施設・設備の整備、そしてサポート体制の整備を進めてきた。
学長によると、2015(平成27)年度までに50%の授業(履修者数ベース)がactive
learning環境を利用することを目指しているとのことであった。そのねらいは、学生の予習・復習を促し、学生のactivity(主体的な学び、授業への積極的な参加)を引き出すことにある。
授業実践の成果報告では、「本学では、なかなか自分の考えを発言しようとしない学生が多かったが、ICTを使って意見を吸い上げる仕組みを構築したところ、これをきっかけに、能動的・主体的に授業に参加するようになった」、「学生相互の学び合いを促すことで“つながり”が生まれ、教室全体が社会的な学びの場に転換した」などの教育効果が紹介された。
現時点で、教員間に意識やスキルのバラつきはあるものの、サポート体制の構築・運用によってactive
learningの広がりが期待される。本年4月に開設された「アクティブラーニングサポートセンター」には職員が2名配置され、講義用iPad等の最新ICTを用いた学習を促進・支援している。また、学生スタッフ(ラーニングアシスタント)が授業に1〜2名配置され、円滑な授業運営に力を発揮している。
<所感>
ICTを活用することにより、学生の精神的ハードルを下げながら講義に双方向型コミュニケーションの要素を取り入れることができる。例えば、学生が自分の意見や質問をスマホなどから気軽に発信するなど。個々の学生の考えを表出・可視化し、全体で共有化することによって、学生は他者の多様な考えに触れ、自己省察と自己理解を深めるとともに授業への参加意欲が高まることが期待される。
一方で、このような効果を最大限引き出すためには、新たな教授法の設計や教材開発を支援する体制、そして授業の運営を支援する体制が不可欠である。しかし、この支援体制は、決して事前に整備されるものではなく、むしろ新たな教育の試行と同時並行で進められるべきであろう。教育の質的転換を図るためには、数年後のビジョンをしっかりと描くことが重要であり、その方略についてはいわば「走りながら考える」姿勢が求められよう。
教務部・斉藤和郎(2013年10月18日)
2013/8/24〜25
学生FDサミット2013夏(主催・立命館大学教育開発推進機構)参加
本年度のFDセンター予算において「学生参画型FD」を推進するための旅費が措置されたことから、立命館大学で開催された「学生FDサミット」に3名の学生を派遣し、これを引率した。
2009年度に100名の参加者でスタートした本サミットであるが、本年度は約450名が参加する大規模なものになった(学生356名、教職員97名)。ここ数年、「学生参画型FD」に取り組む大学が増加し、量的拡大が進んできたようだ。一方で、本サミットで何を得るのか、その質的向上が課題となっている。本年度のサミットは“量的拡大から質的向上へ”の転換を目指し、次世代学生FDの方向性や大学間連携など、新たな観点を盛り込みながら創発的な議論の場、情報交流の場を用意したとのことであった。
<テーマ別分科会>
本学は学生FD組織が発足して間もなく、組織力の向上や各メンバーの成長・能力開発が課題と考えている。この課題を解決するヒントを得る、という観点から2つの分科会に参加した。
・FD活動の大学間連携
追手門学院大学と京都文教大学が連携し、討議の活性化手法(ファシリテーション)や広報戦略など、学生FD組織の運営や組織化に必要なスキルを学び合っている。能力開発にテーマを焦点化した連携の有用性を認識した。
・学生FD再考
前世代の学生FDは「大学を善くしたい」という明確な気持ちが原動力だった。これが徐々に変容し、次世代の学生FDは「自分を成長させたい。そのきっかけとして何かに取り組みたい」という学生によって組織される。この考え方は、決して否定されるべきではない。本学が目指す「学生参画型FD」の基本もここにあると考える。
<ポスターセション>
本学学生3名が現時点での学生FD組織の課題をポスターにまとめ、発表した。45大学が参加したセションであり、他大学の学生との意見交換、情報交換を通じて、彼らは多くの気づきを得たようだ。一方、他大学のポスター発表を聴き、質疑応答を通じて本学の「学生参画型FD」の将来について考える機会を得た。彼らは、ここで得た成果を本学における実践に活かしたいという強い意欲を持ったようである。
本年度のFD研究会において、学生3名が本サミットの参加報告を行うことを予定している。
<所感>
多くの大学にとって「学生参画型FD」は発展途上であり、まずはその意義を「知る」、あるいは理解を「深める」段階にあるようだ。一方で、先駆的な大学はより高度な段階、つまり「行動する」あるいは「改善する」段階に進んでいる。本学においても「知る」から「行動する」への進化を目指し、本サミットに参加した3名の学生を中核に、取り組むべき課題を明確にしていきたいと考える。
教務部・斉藤和郎(2013年8月25日)
2013/8/20
学生FD会議2013(FDネットワーク“つばさ”主催)参加
全国20の大学・短期大学から総勢73名の教職員(学生44名、教職員29名)が参加し、「企業が求める社会人になるために大学生活で学べること」をテーマに、教職員・学生がお互いの考えを尊重し、創造的に思考することを基本に、大学教育の質向上戦略について考えた。
<討議の進め方>
前半は、学生が5〜6名単位に8つのグループに分かれ、「社会人に求められる力や態度とは何か?」について議論し、これを育成する教育プログラムについて意見交換を行った。この間、教職員は7〜8名単位に4つのグループに分かれ、大学教育に対する社会からの要請と教育現場のギャップなど、現状の課題を洗い出し、解決の方向性について議論した。
後半は、教職員グループの各メンバーが1名ずつ、8つの学生グループに散り、助言者となった。つまり、1つの学生グループには、4つの教職員グループから1名ずつが割り当てられる。教職員は、それぞれのグループでの議論を踏まえ、多様な観点から学生の討議を促す働きかけを行う。これは、いわゆる「ジグソー学習」の手法を取り入れた協同的な学びのスタイルである。限られた時間で多様なメンバーと意見交換ができ、そこでの気づきや学びを次の討議につなげる上で効果的な手法であると感じた。
<討議の内容>
私が割り当てられた学生グループの前半終了時点での議論は、印象的なものであった。それは、成長する「木」をモチーフに、正課教育で修得した基盤的な力を「根」が吸い上げ、これを正課外活動と組み合わせて「枝」や「葉」に展開する。そして、それぞれの個性に応じて世界に一つだけの「花」を咲かせる。というものであった。ただし、栄養を吸い上げるメカニズムは何なのか、あるいは「枝」や「葉」の展開を左右する要因は何なのか、という基本的な考え方については十分説明できない状態だった。あまりにもイメージが先行しており、学びや成長との関連性を実感することができなかった。
そこで、学生が実際に体験した学びや成長を例示しながらこの考え方を説明することを促した。また、“学習の動機づけ”という観点から「根」から「花」に栄養が運ばれるモデルを説明することを促した。例えば、大学生活での学びを「企業が求める社会人になる」と関連付けてみる、あるいは、小さな成功を繰り返すことで自信を獲得するなど。こういった“学習の自己マネジメント”という観点から、さらに議論を深めることを促した。時間切れで十分な結論には至らなかったが、探究的な議論が展開された。
<所感>
学生FD活動を促す上で、教職員は助言者という立場で目標達成を支援するような、高度な役割が求められる。このことをあらためて認識した。
教務部・斉藤和郎(2013年8月20日)
2013/7/26
ポートフォリオ・LMSの先端事例紹介2013(朝日ネット主催)参加
標記のセミナーに出席し、ポートフォリオを活用して教育の質的転換を図る先駆的大学の実践事例に学んだ。
<キャリア教育へのポートフォリオの適用>
就業力を育成するためには、正課教育のみならず、多様な課外活動を通じた人間形成の場が必要不可欠である。この総合的な就業力育成の取組を進める上で、学生の活動全般をカバーしたポートフォリオへの期待が高まっている。
その要件として、学生がお互いにそれぞれの活動の内容や成果を参照し、評価し合うような、ソーシャルネットワーキングの考え方を組み込んだ省察機能が重要である。常に自身を客観的に捉える態度や能力を育み、学生自身がPDCAサイクルを主体的にマネジメントする。いわばメタ認知を促す機能である。
<ポートフォリオを活用した能動的学習(アクティブラーニング)の展開>
クラウド型LMSシステム(学習管理システム)「manaba
course」に出席管理機能を搭載し、複数大学で実験的な取り組みを展開している。この機能は単に出席管理を効率化するだけではなく、いわゆる「クリッカー」機能を搭載しており、能動的学習(アクティブラーニング)の可能性を高める。
学生は自身が所有するスマートフォンを使って授業に能動的に参加する。教員は学生の理解度をチェックしながら、あるいは学生が発信するコメントを閲覧しながら、授業をインタラクティブ、かつダイナミックに進める。その教育的効果は大きなものである。
なお、ある大学の学生のスマートフォン所有率は73%、パケット定額コースに加入する割合は96%であった。つまり、学生の多くは、自ら能動的学習参加ツールを保有して教室に座っている。それが今の状況である。
<ポートフォリオの将来的な展開>
学生の学びを支援するポートフォリオ(=ラーニングポートフォリオ)を超え、システムに蓄積された情報を教員組織が(各教員に適正な閲覧権限を付与した上で)これにアクセスし、自らの教育活動を振り返るポートフォリオ(=ティーチング・ポートフォリオ)への期待が示された。
教員が相互に教育活動の成果や課題を認識し、刺激し合いながら組織的に知の獲得を促すようなアプローチである。いわばFDツールとしてのポートフォリオの新たな展開である。
教務部・斉藤和郎(2013年7月26日)
2013/6/6
教育関係者向けセミナー「New Education Expo 2013」参加
東京で開催される標記のセミナーの中から、以下の報告を遠隔で(札幌サテライト会場で)視聴する機会を得た。高等教育を取り巻く課題について認識を深めるとともに、その解決に向けた他大学の先駆的な取組に刺激を受けた。
<これからの大学の情報基盤整備>
早稲田大学理事 深澤良彰氏(理工学術院教授)
「Waseda Vision
150」(創立150周年を迎える2032年の将来像)が掲げる早稲田大学のミッションが紹介され、これを実現するという高次の観点で情報化戦略を構想することの重要性、ならびに今後有用となるICTの諸機能について報告があった。(→資料)
青山学院大学情報メディアセンター所長
宮川裕之氏(社会情報学部教授)
青山スタンダード(全学共通教育が目指す教育目標)を構成する「情報活用能力」育成プログラが紹介され、eラーニングによる自学自習とサポート学生によるきめ細かな対面指導を組み合わせた“融合型学習環境”のもたらす成果と運営面での課題について報告があった。
<今日の大学改革>
- 文部科学省高等教育局長
板東久美子氏
学生を徹底的に鍛え上げる教育環境づくり、例えば、小樽商科大学のアクティブラーニング環境(現実の課題を取り入れた実践的な学びの場)、同志社大学のラーニングコモンズ(学びの交流と相互啓発、アカデミックスキルの育成空間)、早稲田大学のライティングセンター(ワークスタディを取り入れた学生サポート体制)などの例を示しながら、大学の果たすべき使命が提示され、教育機能の強化に取り組む大学への政策的支援について報告があった。
<特色を踏まえた大学づくり 〜副学長、学部長の戦略を聞く〜>
- 共愛学園 前橋国際大学副学長
大森昭生氏
最近の答申は、トップマネジメントによる教学ガバナンスの有用性を指摘している。これとは全く別のアプローチ、つまり教職員と学生の顔が見える小規模なキャンパスで語り合い、誰もが主体的に大学運営に関与する。この共創のアプローチによる成功例が紹介された。
- 甲南大学マネジメント創造学部学部長
佐藤治正氏
「局面を打開する力」、「異質な集団で交流する力」など、変化の激しい世の中を生き抜く力を身に付けさせる。これを教育目標とする“マネジメント創造学部”では、教室やキャンパスを離れ、学生をあえて困難な状況に置く。この武者修行は、学生たちに人や組織、社会に関心を持たせ、学んだことを応用して正解に近づこうとする戦略を考えさせる。こういった教育方法の有用性、あるいはこれを運営する教員への能力開発の取組が紹介された。
教務部・斉藤和郎(2013年6月6日)
2013/2/23
札幌大学・学生FD組織主催「054Time!!2013」参加
熊本学園大学、北翔大学、北海道医療大学、北海道情報大学、小樽商科大学、札幌大学、そして本学から、学生FD活動に参加する学生・教職員50名が集い、FDの推進というテーマで新たな企画を考えるイベント「054Time!!2013」(おこしタイム=興しタイム2013)に参加した。
札幌大学の学生組織は北海道における学生FDの先駆者的な役割を担い、このような全国レベルのイベントに多くの実績を有する。今回のイベントも、昨年夏に山形大学「ネットワークつばさ」との共催で実施したイベント「054Time!!2012」の第2弾である。このようなイベントの企画、運営を通じて、札幌大学の学生は多くのことを学んでいるようであった。懇親会の席で彼ら彼女らと話をして、プロジェクトマネジメントの基本(例えば、目的を明確にして企画を立案し、その成功に向けて準備、運営を行う。その成果と問題点を振り返り、次回の改善に活かす。といった「PDCA」サイクルなど)への認識を持ち、自分自身の足りないところを見つめながら、みずから成長しようという意欲を垣間見ることができた。また、チームとしてお互いを尊重し、補い合いながらイベントを成功に導こうという姿勢が随所に認められた。おそらく、本学から参加した7名の学生たちも、他大学の学生たちの態度や能力、組織力に触れ、刺激を受けたものと考える。
今回の「054Time!!2013」は、「もっとFDに興味を持ってもらおう」という課題設定で、いろいろな大学で利用できるFD推進プログラムを企画する、というものであった。学生たちは6名程度のグループに分かれ、自分が感じている現状の問題点をぶつけ合いながら、何を解決すべきか、どう実現するか、といったことを考えた。教職員は、各グループを回り、議論の視点を投げかけたり、質問に答えたり、という役割を担った。イベントの最後、各グループは議論の結論を発表し、相互投票によって最優秀企画賞を決定した。なお、これらの結論を見る限り、「その企画を実施すると、大学はどのように善くなるのか?」という疑問に応えきれない内容が多かったように感じた。いわば、手段を目的化している、という印象である。「全国で展開されている今の“学生FD”はイベント重視で、お祭り的」という批判があるが、「面白いことを企画して、やりっぱなしにする」だけの学生FDに終わらせないため、本学においては「何のために」という目的、あるいは「どうあるべきか」というビジョンを明確化することに力を入れたいと考える。
教務部・斉藤和郎(2013年2月23日)
2013/1/23
北翔大学学生FD組織「北翔アンビエント」活動報告会参加
2012年4月、北翔大学に学生FD組織が発足した。当初5名でスタートした組織は、教職員と学生の対話の場「翔タイム」の企画・運営や全国的な学生FDフォーラムである「学生FDサミット」、「ツバトーーーク」、「学生FDのWA!!!」等への参加を通じて、徐々に組織の使命が明らかになりつつあるようだ。その後、参加する学生は12名に増え、それぞれのメンバーが自分の役割を認識しながら人間的な成長を遂げているようであった。
現時点で、組織としての目的や目標は必ずしも明確ではない。「翔タイム」等の企画も、実施することのみに注力し、その成果を大学改革・教育改善にどう活かすか、という基本的な視点は曖昧である。おそらく、これは全国的に盛んになりつつある「学生参画型FD」の共通の課題であろう。
報告会では、12名の学生たちがそれぞれ自分たちの視点から1年間の活動を振り返った。その報告を聴き、それぞれの学生がこの活動の中でよい学びをしていることがわかった。例えば、「翔タイム」の実施にあたり、会議や討議を活発にするための“ファシリテーション・スキル”というものを知る。そして、そのスキルを備えていない自分に気づき、スキルを獲得したいと願い、いろいろな取組を通じて少しずつそれを獲得していく。こういった自身の成長を認識しながら、彼ら彼女らは自信をつけ、新たな学び、成長への意欲が高まってくる。このような印象を受けた。ある学生の「“北翔アンビエント”は自分を成長させてくれる場のような気がする」という言葉が、これを象徴している。
学生がFD活動に参画する。それは、単に学生が教員に対して授業改善を求めるものではない。学生が学生の視点で自分たちの実態を把握し、自身の学びを想い描き、なりたい自分・ありたい自分に向かって内面を変革していく。このプロセスを促す、あるいは支援することにこそ意義がある。今回の報告を聴き、北翔アンビエントの学生たちが「学生を変えよう」という観点から何かに取り組み始めているのではないか、と感じた。
教務部・斉藤和郎(2013年1月23日)
2012/11/28
進研アド主催セミナー「“競争なき世代”の心を動かすマーケティング」参加
標記のセミナーに出席し、以下の報告を受けた。“高大接続”と言うアプローチによって学生の内発的動機付け促す取組の重要性を確認した。本学で試行している高大連携の取組、例えば2012年8月に本学の学生を道東の清里高校に派遣して高校生たちと対話を行う場を設けたが、これに対する同校の進路指導部教諭の高い評価などからもこのアプローチの意義、有効性が認められている。また、この取組が高校生のみならず大学生そのものを“覚醒”する役割を果たしている、という点も見逃せない。
<進研アドの調査報告>
「競争なき世代」とは、高校生の多くが「大学進学は、楽に済ませたい」、「合格できるなら、大学のレベルを下げてもよい」と感じ、過去の高校生のように大学受験を通じて自身の将来を探求するという姿勢を持たず、目標観を喪失した状態で大学に進学する現状を示したものである。
「競争なき世代」を様々な調査結果から概観すると、大学に入学するにあたっての心構え(レディネス)ができていない状況が認められた。例えば、自己肯定感に乏しく自分はダメな人間と感じる、挑戦的志向が減退して現状肯定派になる、進路を自分で見極めることができない、などの思考・行動特性を持っている。こういった世代に属する高校生を大学でドロップアウトさせないためには、高校時代に内的な動機づけを与えること、いわば“覚醒”を促すことが重要である。
この観点から独自の調査「高校・大学間の活性度移行調査」を実施した。その仮説は、「大学進学にあたって明確な目的意識ややる気を持っていない高校生でも、大学で学ぶことの動機づけや刺激を受けることによって目覚め、主体的な行動ができるようになるのではないか」というものである。調査方法として、大学での活性度を5つのクラスターに、高校での活性度を5つのクラスターに分類し、その関係を分析した。その結果、大学入学後の活性度は、高校時代の“覚醒”によって決まる、という結論を得た。この結論を踏まえれば、高校時代のいくつかの重要な時期において、大学進学に関する情報を与え、進学について探求的に考えさせる働きかけを行うべきである。“覚醒”のための具体的手法としては、リアルな情報や人との接触によって動機づけを促す取組(例えば、在学生が高校生に大学生活を語る、など)が有効である。
教務部・斉藤和郎(2012年11月28日)
2012/11/21
「平成24年度北海道地区FD・SD推進協議会総会」参加
標記の総会に出席した。あわせて特別講演を聴講し、テーマ別セッションに参加した。これを通じ、本学におけるSD推進にあたっての示唆を得ることができた。
<総会>
次の提案が行われ、いずれも異議なく承認された。なお、本学は平成25年度より2年間、引き続き幹事校となることとなった。
「幹事校の再任について」、「平成24年度活動報告について」、「平成25年度事業計画について」。
<特別講演>
大学コンソーシアム京都の専門研究員として、京都市と連携しながら大学間連携の推進に関与する川面きよ氏から、同コンソーシアムの現状と課題が報告された。
「大学コンソーシアム京都」とは、大学、地域社会及び産業界との協力による大学教育改善のための調査研究、情報発信交流、社会人教育に関する企画調整事業等を行う公益財団法人である。その目的は、(1)大学と地域社会及び産業界の連携を強めること、(2)大学相互の結びつきを深め、学生に豊かな学びの機会を与えること、(3)教育研究のさらなる向上とその成果の地域社会・産業界への還元を図ること、にある。年間の予算規模は4億円超であり、加盟大学からの会費収入と京都市からの委託事業収入などから構成される。過去に数件の教育GPに採択され、1億数千万円の補助金収入を得た時期もあったが、現在は事業整理に伴い事業の選択と集中が求められる状況にある。運営に係るスタッフは、加盟大学からの出向20名、非正規職員20数名、専門研究員2名から構成されている。専門スタッフが少ないことから、事業継続という観点で課題を抱えている。拠点となる施設「キャンパスプラザ京都」は、京都駅前に設置され、1日に1千7百名の利用がある。
この施設には「学生Place+」というエリアがあり、「輝く学生応援プロジェクト」という学生の交流事業の活動場所となっている。例えば、学生による京都のまちの活性化、社会貢献事業などが展開され、これを支える設備と専門コーディネータが配置されている。この取組は、本学における学生サポートセンター構想を検討する上で参考になると考える。
<テーマ別セッション>
北海道大学の教員3名、北海道教育大学の教員1名、北翔大学、北海道工業大学、北海道薬科大学、北海道情報大学、酪農学園大学、北海道武蔵女子短期大学の職員各1名とともに、「SDにどう着手するか?」といったテーマで意見交換を行った。学内の教育資源をうまく活用するという観点でFDとSDを融合し、大学全体として構成員の人材開発を促すというアプローチ、あるいは本協議会のハブ機能を強化、実質化し、大学間の連携という枠組みでSDのさらなる発展を追求するアプローチの意義について、認識を共有した。
教務部・斉藤和郎(2012年11月21日)
2012/11/14
大学・高校実践ソリューションセミナー2012in北海道参加
学生の主体的な学びを促す新たな教室環境について、そのトレンドを探るために標記セミナーに参加した。現在、FDセンターにおいて教室環境の改善について教員調査を実施し、その具体化を検討しようとしている。これを進めるうえで貴重な示唆を得ることができた。
<小樽商科大学における実践例>
小樽商科大学では本年度、「アクティブラーニング教室」を新設した。それは、「10年後の大学教育のスタンダード」を先取りしたものであり、従来の座学スタイルを発展させながら教員と学生、場合によっては社会との相互対話を促す、能動的な学習のための教室環境である。
同大学では、本年度を試行期間と位置付け、教員、学生、管理者から適宜アンケートを取りながら、この教室の教育的な効果や運用面での課題などを分析している。現時点で学生の満足度は高いようだ。
試行期間ということもあり、前期の「アクティブラーニング教室」の稼働率は低く、1日につき1科目かせいぜい2科目であった。しかし、この教室がとても目立つ場所に設置されており、また教室内の活気ある授業風景が教室外のスクリーンに常時映し出されていることから、多くの教員が興味を持ち、教育効果の高さがクチコミで拡がった。その結果、教授会等でアナウンスしたわけではないが、この教室を希望する教員が次々と現れ、後期の稼働率は1日3〜4科目に増加したとのことである。
この教室を使い始めると、教員は「何をどうすれば授業がもっと良くなるのか?」ということを自問自答し、いろいろな工夫にチャレンジするようになるらしい。報告によると、新たな教育環境は教員の授業改善に対する自発的な取組を促し、その意欲を掻き立てる効果があるようだ。
<高等教育機関における新たな教育学習環境>
冊子『學び舎』に掲載される事例のように、従来の「講堂」タイプとは違う、多様な教室環境が提案され、新たな学びを追求する大学で次々と採用されている。しかも、その動きは初等教育から高等教育、社会教育まで日本全体の大きなうねりになっているようだ。その背景や意義を認識するため、例えば、これに先駆的に取り組んだ小樽商科大学を訪問し、実際の授業を参観するなどして新たな授業設計に学ぶとともに、この取組を促す組織体制について推進者にヒヤリングを行う機会を得たいと考える。
教務部・斉藤和郎(2012年11月14日)
2012/8/24
平成24年度IDE大学セミナー「学習評価の将来像を求めて」参加)
高等教育の質保証のアプローチとして、学生の成長プロセスを追跡する“学生調査システム”が注目されている。また、複数大学が相互連携してこの結果を溜め、全体の状況と比較する。これによって自大学の現状(強みや弱み)を浮かび上がらせる“ベンチマークシステム”の試行も行われている。
今回のセミナーでは、これら試行的な取組の成果報告があった。
<間接評価としての学生調査>
学生の行動や満足度に関するアンケートを基本とした調査である。継続的な調査を行い、学年進行に伴う変化を把握する。
意味のある学生調査とするためには、その目的をしっかりと定めなければならない。また、その評価法は妥当なのか、という形成的評価、いわば“メタ評価”も求められる。
<直接評価との連携>
この間接評価(プロセス評価)を直接評価(「成績」などの達成度評価)と組み合わせることによって、新たな視点での分析に役立てることができる。
例えば、所期の目標を達成できる学生はどのような特性(学びの意欲、姿勢、過程、振り返り、・・・)を備えているのか、などを明らかにする。これによって、カリキュラムや教授法の改善はもとより、学習支援の組織的方策を導くための基礎情報を得ることが期待できる。
<学士力の定義>
これら総合的な評価システムを実質化するには、その前提として、学生に身に付けさせたい力、いわゆる「学士力」を具体化、明示化することが求められる。そして、その獲得を実現するカリキュラムとは、個々の科目の学習目標(ラーニングアウトカム)が「学士力」と整合し、かつ科目間の連携によって「学士力」の達成を説明できるようになっていなければならない(カリキュラム・マップ、カリキュラム・フローチャート)。
8月28日に予定されている中教審大学分科会の答申では、DP、CP、APに続く4つめのポリシーとして「アセスメントポリシー」に関する提言が含まれるらしい。従来にも増して「評価」に関する組織的、システム的な対応が求められるということであろう。現在、本学では初年次教育の改善を目的として1年生を対象とした学生調査の実施を検討している。今回のセミナーに参加し、プロセス評価が目指すべきものは何か、その具体的な実施方法はどうあるべきか、という課題に向き合うにあたって必要な視点を獲得することができた。
教務部・斉藤和郎(2012年8月24日)
2012/8/18
FDネットワーク“つばさ”学生FD会議2012 in 札幌大学 への参加)
「学生と教職員とのGap」というテーマで開催された。そのうち、甲斐が参加したのは 2nd satage 3rd
stage 4th stage であった。以下、ギャップの具体例からまとめて報告する。
1.職員と学生とのギャップ
窓口に学生が出向いた時に、その要件はここじゃなくて違う窓口だからと言われる。職員は学生が何のために窓口に来ているのか理解しようとしない。また、学生はどの要件がどの窓口か理解していない。
(改善策)
1.事務室に目安箱を置いて学生からの意見を集めて現状を改善する。
2.先輩学生が後輩学生向けに大学サービスを案内する冊子を作る。
3.新学期のガイダンスはユーチューブにアップしていつでも見ることが出来るようにする。
2.学生目線と教員目線のギャップ
教員が何を教えようとしているのかが分からない。授業評価アンケートでそのことを書いても授業終了時では改善されない。
(改善策)
1.自分の学問に倦怠感を抱いているかのように見える教員を再生させる。教員に、学問を志した理由やその学問の面白さを語ってもらう機会を学生が設け、教員の学問する心に火をつける。
2.学生が教えてもらうだけではなく、教員に働きかけて双方向の「学び」を創り上げるという意識を持って行動する。
3.コミュニケーションのギャップ
学生は個性を尊重してもらいたいと思っている。教員は自分の理念(かくあるべきだ)を押し付けようとする。
(改善策)
1.敷居を低くして学生が教員とコミュニケーションしやすくする。
2.授業評価を教員の自己満足のためではなく、授業を実際に改善するために実質化させる。
<所感>
ギャップはすべて埋めることはできない。しかし、埋めようとする努力は可能である。白か黒かの二分法から脱して、より良い大学、より良い教育を相互に創り上げる試みを重ねることが重要ということを、学生の意見をじかに聞くことで再認識することができた。
教務課・甲斐陽輔(2012年8月18日)
2012/7/19
北翔大学にて「学生参画型FD」に関する情報収集(本学学生とともに)
2012年7月19日(木)に開催された第2回FD委員会において、学生参画型FDを進めるための学生の組織化とこの活動を実質化するための教員と学生によるワーキンググループの立ち上げが承認された。
この決定を受け、学生10名とともに北翔大学を訪問し、北翔大学で進めている学生参画型FDの取り組みについて情報収集を行った。
<北翔大学での取組>
北翔大学の学生支援オフィス長・松澤衛氏(生涯学習システム学部准教授)、教育支援総合センター FD支援オフィス・千葉道博氏、学生スタッフ2名にヒヤリングを行った。
- 本年4月から公式に活動を開始した。
- 現在、学生6名が活動に参加している。公募ではなく、FD活動に興味・関心を示した学生を勧誘している。昨年9月に山形大学で開催された学生FDフォーラムに参加した学生3名が中核的な役割を担っている。この3名は、「ちょっとした旅行気分」で山形に行った。ところが、そこで活き活きと語り合う他大学の学生たちの姿に大いに感化されたとのこと。
- 学生の活動の拠点として、空いている研究室を割り当て、パソコンやホワイトボードなどの設備・備品を措置している。
- 他の予算がカットされる中、全国フォーラムに学生を参加させる旅費など、本年度は十分な予算が計上されている。ただし、本年度の活動実績が次年度以降の予算に反映される。
- 学生支援オフィス長(学長の指名。2年間)が学生の活動を支援する役割を担っている。日常的には、事務担当者が支援している。
- 先日、学生と教員の対話の場を企画した。「翔トーク!」と呼ぶもので、学生20名、教員数名が参加して「授業中の私語」の問題について、教員学生混合のグループに分かれて対策案を練り、相互に発表した。教員にとっては、学生の提案から示唆を得る場面もあったようだ。また、参加した学生が私語とは無縁の学生だったことから、企画の内容について疑問視する教員もいたようだ。現在、学生たちは、このフォーラムの成果をまとめている(7月末に学内報告会を予定)。
<今後の相互交流>
道内の他大学で学生FD組織が公認されているのは札幌大学と北翔大学である。特に、札幌大学の取り組みは全国的にも先駆的な活動として高い評価を受けている。
これら2大学の取組に学ぶことが有用と考え、3大学の学生・教職員の相互交流について打診し、意見交換を行った。今後、実現へ向けて事務担当者レベルで調整を行うこととした。
教務部・斉藤和郎(2012年7月19日)
2012/5/26
大学教育学会第34回大会ラウンドテーブル「学生とともに進めるFD」参加
・・・学生FD活動を支えるものは何であろうか。それは、「学生FD活動を通じて自分を成長させたい、大学生活を充実させたい」という学生の願いと、そのような学生となる支えになりたい教職員の願いであろう。実際、学生FD活動に参加している学生は、「教員と授業改善について話し合うことで、学生の話を聴いてくれることがわかった」「学生FD活動を通し、大学・講義が好きになった」などのように、非常に前向きな反応を示していた。・・・(以下の報告書から抜粋)
北海道大学で開催された「大学教育学会」のラウンドテーブル「学生とともに進めるFD」には、全国の大学から100名近くの教職員、学生が参加し、学生FD活動の意義と現状および今後の課題について意見交換を行いました。本学からは、学生13名と教職員3名が参加しました。
大学教育学会第34回大会ラウンドテーブル「学生とともに進めるFD」参加報告書
英語英米文学科・眞田敬介(2012年5月26日)
FDセンターでは、2011年度から3か年計画で本学独自の「学生参画型FDモデル」を構築することを目指している。2年目の2012年度は、学生チームを公募で組織し、試行的取組を行うことを計画している。これを推進する上で有益な情報を収集するとともに、学生FDに取り組む他大学とのネットワークを形成するため、標記のラウンドテーブルに参加した。
このラウンドテーブルには、本学から10数名の学生が参加した。いずれもこのテーマに興味・関心を持つ学生たちである。彼ら彼女らはラウンドテーブル全体を通じて、あるいは道内外から参加した学生たち(立命館大学、追手門学院大学、京都文教大学、愛知教育大学から学生13名、道内の学生約30名が参加)との交流を通じて、その意義や学生の役割などについて認識を深めたようである。
<北海道で学生FDに取り組む大学からの事例紹介>
まず、札幌大学、北翔大学、北海道情報大学、小樽商科大学から「学生とともに進めるFD」が発足した経過と取組の内容が報告された(発表要旨収録p.36〜37と発表用配布資料を参照)。教員と学生の小さな取組が結果的に大学に認知された例、大学側が立ち上げに関与した例、非公式サークルとして位置づけている例など、大学によって学生FDの立ち上がりや取組の形態は多様であった。
ただし、北海道は学生FD黎明期ということもあっていずれの大学も学生をいろいろな取組に関与させることに注力しており、その成果を省察的に振り返る活動、いわば自己点検・評価という観点からの活動は認められなかった。本学において学生FDを考えるにあたっては、PDCAマネジメントサイクルにもとづくシステマチックなアプローチも追求すべきではないか、という問題意識を持った。
<ディスカッション>
ラウンドテーブルを主宰する木野茂氏(立命館大学・共通教育推進機構・教授。日本における「学生とともに進めるFD」の先駆者的存在)から学生FD活動の現状と課題が報告された。また、今後の発展へ向けて、従来の「学生参画型」から「学生主体型」に転換を図る時期が到来している、という見解が示された。続く自由討論では、学生FD活動の学内での認知、学生の組織化、大学間連携による学生FD等の観点から各大学の現状報告、意見交換が行われ、参加者間で問題意識を共有することができた。
特に、大学間連携という観点で近隣の大学との教職員・学生交流を進める中から何かが見えてくるかもしれない、という期待感を持った。今回形成された人的ネットワークを活用し、何か具体的な取組を考えてみたい。
<昼食懇談会>
ラウンドテーブル終了後、参加した教職員と学生が会場近くのレストランに移動し、昼食を摂りながら交流を深めた。
教務部・斉藤和郎(2012年5月26日)
2011/10/19
「平成23年度北海道地区FD・SD推進協議会総会」参加
標記の総会に出席した。あわせて特別講演を聴講し、テーマ別セッションに参加した。これを通じ、本学におけるSD推進にあたっての示唆を得ることができた。
<総会>
次の提案が行われ、いずれも異議なく承認された。続いて、北海道内の各大学に対してSDに関する実態調査を実施していることが報告された。
「幹事校の再任について」、「平成23年度活動報告について」、「平成24年度事業計画について」
<講演会>
愛媛大学職員として、大学間連携の枠組みで教職員の人材育成に取り組む米澤慎二から、「SPOD」の概要が報告された。「SPOD」とは「Sikoku
Professional and Organizational Development Network in Higher
Education/四国地区大学教職員能力開発ネットワーク」を意味し、実践的力量を備えた高等教育のプロを育成することを目指す大学・短大・高専ネットワークである。「SPOD」が展開する研修プログラムは、到達目標を明確化し、グループワークを中心に自大学で実践につながる内容を基本としている。本年度の研修参加者は90大学から延べ1,281名に上る(毎年度当初、加盟機関の全教職員に対して「研修プログラムガイド」を配布)。SDプログラム開発にあたって重要なことは、実践と理論が融合していること。例えば、学習環境を改善するための実践力の育成は、教育・学習理論や認知心理学理論に裏付けされながら展開されている。
米澤氏は、SDとは個人的取組(Self
Development)と組織的取組(On the Job Training/Off the Job
Training)から構成されるものであり、特に後者は組織として意図的・計画的・持続的に取り組まなければならないと指摘した。愛媛大学では、学長があらゆる場面で「教職員の役割分担と協働」と「人事育成マネジメントの充実」を熱く語っており、これが大学内に浸透してきている。例えば、月に4回、教育企画室の主催による「ランチミーティング」が開かれ、教員と職員が同じテーブルで語り合う場が形成されるようになった。あるいは、部課長クラスで人事ポートフォリオの運用を開始し、自身のキャリアプランや目標設定、その達成度評価や業務成果を可視化する取組が実質化した。いずれも、大学を善くしようという組織のビジョンと個人の気持ちが整合化した状態を示す事例である。
<テーマ別セッション>
北海道大学の教員2名、北海道教育大学と帯広畜産大学の教員各1名、道都大学、北海道工業大学、北海道情報大学、酪農学園大学の職員各1名とともに、「SDにどう取り組むか?」といったテーマで意見交換を行った。プロフェッショナル人材育成のためのひとつのモデルとして、組織を超えたプロジェクトマネジメントの枠組みで(場合によっては学生も加えて)教職員が協働で何かに取り組み、それを省察することの意義を共有した。
教務部・斉藤和郎(2011年10月19日)
2011/10/15
北翔大学主催「平成23年度第2回FD/SD研修会」参加
標記の研修会に2名の学生(英語英米文学科4年と人間科学科3年)とともに参加した。
本学では、FD委員会の事業計画に「学生参画型FD(※)」を掲げており、その実施にあたって貴重な情報を得るとともに、学生FD活動の大学間ネットワークのきっかけを創ることができた。
北翔大学ホームページの記事にリンク
※)学生を学びの主体者という立場でFD活動に参画させ、学生と教職員がともに議論しながら協働でより良い授業(学びの場)を創り上げる。3年後に本学独自の学生参画型FDモデルを導き出すことを目指し、初年度は学生による授業改善検討チームを組織していくつかの試行的取組を行う。
<講演:札幌大学FD推進委員会委員長・法学部教授 梶浦
桂司氏>
札幌大学では、全国ネットの学生FD会議「つばさ」への学生参加を契機に、学生参画型FDの取組をスタートした。約10名の学生で組織される学生FD委員会は、学生フレンドリーな学習環境の構築に関して、主体的役割を担っている。その活動は、学生自治会とは一線を画しており、教育改善という観点から機動的な活動を展開している。次の3点が特徴的という印象を受けた。
・札幌大学のFD活動の定義に「学生・職員・教員の協働」という理念が盛り込まれている
・FD推進委員会に、学生FD委員会の委員長が正式メンバーとして参画している
・「サツトーーーク」と呼ぶ学生と教職員の対話の場を継続している(事務局長以下職員も参加し、そこで生まれたアイディアの推進に協力している)
<学生交流会>
北翔大学(10名)、札幌大学(2名)、本学(2名)の学生が2グループに分かれ、「今の大学生のあり方・積極性と大学との関わりについて」というテーマで自由に意見交換を行い、その成果を相互発表した。例えば、「入学後に自分がやりたいことを発見する場を用意し、意欲の向上を図るためのプログラムを開発することが必要」、「学生の積極性と教職員の積極性は相互に関与しており、三者が協働する環境を大学内に創ることが必要」といった議論が展開された。
終了後、本学の学生にインタビューしたところ、学生自らが学びの環境を善くするという取組に対して関心と意欲を持ったようである。
教務部・斉藤和郎(2011年10月15日)
2011/3/6
第16回FDフォーラム(京都)第2ミニシンポジウム「学生とともに進めるFD」参加
FD(Faculty
Development)活動というと、従来は、授業・講義を行う教員と、大学で働く職員がメインになって行われてきたように思われる。
しかし、学生こそが授業・講義に参加する立場である以上、学生もFD活動における重要な構成員と位置付けるべきであろう。このような考え方が、近年、一部の大学から起こり、その後、少しずつではあるが、全国規模で広がりを見せている。
報告者が参加した「学生とともに進めるFD」は、その実践報告と議論を通し、「学生とともに進めるFDとはいかなるものか」の意義と展望を考えるものである。このような考え方によるFDの先駆者の一人と言える木野茂・立命館大学教授がコーディネーターとなり、立命館大学・法政大学・追手門学院大学・大阪大学・京都文教大学からの実践報告、それと全体討論が行われた。参加者が100名を越え、参加者の所属先も全国にわたっていたことから、このテーマがいかに大きな関心を呼んでいるものかがわかる。
(・・・以下、次のPDFファイルを参照)
第16回FDフォーラム参加報告書
英語英米文学科・眞田敬介(2011年3月7日)
過去のFD報告書
2010年度以前の本学のFD活動をまとめた『年次報告書』です。2011年度以降の活動報告は、本ホームページに掲載しています。
2010年度
- 全学FD活動の記録 (PDF
3.2MB)
- 各部局の取り組み (PDF
3.2MB)
- 2010年度学生による授業評価アンケート結果 (PDF 3.2MB)
- FDに関する研究会・研修会参加報告 (PDF 3.2MB) ・・・
学内ネットワーク(研究・事務)から閲覧可
2009年度
2009年度 FACULTY DEVELOPMENT
報告書(PDF 6.5MB)
FDセンターニュース
FDセンターでは、センターニュースを発行して、大学内外で行われている様々なFDに関する取組や成果を社会に発信していきます。また、これを通じて、本学の学生、教職員が、各々の立場で教育を善くする取組に関心を持っていただき、主体的に参加いただければと願っています。
バックナンバー(クリック)
創刊号(2010年12月20日)
・「FDセンターニュース」の創刊に寄せて
・イギリスと日本における先進的FD事例に学ぶ
・FD研究会:「企業が求める人材像」という観点から授業改善を考える
・後期の「授業評価アンケート」を実施します
創刊号(2010年12月20日発行)へのリンク (pdfファイル
364KB)