人間科学科

Department of Human Sciences

【人間科学科】地域文化専攻の夏の一コマ

2024.09.04

お知らせ
縄文時代の尖頭器(“石槍”)

今回は、人間科学科地域文化専攻の活動として、夏休み中の最新情報を紹介します。

舞台は、本学と地域連携協定を結んでいる道東の置戸町です。

置戸町は山間部に位置することもあり、林業が主要な産業のひとつで、木工品のオケクラフトが有名です。そんな置戸町ですが、石器時代の道具の材料となる黒耀石の大産地があり、考古学者の中では知らない人がいないほど、著名な町です。



札幌学院大学は置戸町にて黒耀石産地の考古学的な調査を継続的に実施していますが、調査やその成果を研究者に提供するだけでなく、地域住民の方々に地域の文化資源としての遺跡や黒耀石を知ってもらい今後のまちづくりに活かすことを目的に、置戸中学校の一年生を対象に「ふるさと教育事業」をおこないました。

当日の主役は、もちろん黒耀石と黒耀石製の石器。私はそのガイドという立ち位置です。現地では、地表で確認できる黒耀石の量や大きさに注目しながら実際に遺跡を歩き、過去の人々の活動について中学生自身が自分の目と足を使って考えます。

置戸の黒耀石は透明度が高く、目が奪われるほどの美しさ
黒曜石を透かして、その特徴を考える
遺跡を歩いて、過去の人々の活動を考える


授業の後半は、中学校の教室にて、実際に出土した石器を観察し、黒耀石の特徴や石器についてみんなで意見を出し合いながら考えます。教科書にはのっていない“答え”を追求するのは、まさに考古学の研究者とかわりありません。専門家顔負けの意見もあり、私も大いに勉強になりました。中学生のみなさんは、黒耀石や遺跡の重要性を実感するとともに、そのような文化資源を持つ町の魅力を強く認識できたようです。

石器を間近で観察
みんなで黒曜石の特徴や石器について考える
今回紹介した「ふるさと教育事業」も今年で5年目を迎え、現在の中学1年生から高校2年生までの置戸町出身の学生が全員受講したことになります。

これまでの受講生がどのように地域の資源(森林や黒耀石)を活かし、これからの置戸町を作っていくのか。継続的に事業を実施しながら、受講生のみなさんの活動を支援し、一緒に置戸の未来を考えていきたいと思います。

(大塚 宜明)

  • 発行日: 2024.09.04