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人間科学科

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【人間科学科】夕張市でフィールドワーク

2010.03.02

お知らせ

夕張市でフィールドワーク


人間科学科では、実験・実習科目を重視してきました。「フィールドワーク(社会調査Ⅱ)」は人びとが働き、学び、生活するナマの現場に出かけて、その現実に向き合う体験的学習という特徴をもった科目です。
2009年度は2006年に財政破綻が表面化した北海道夕張市に行ってきました。参加学生は人間科学科2~3年次生の23人、担当教員は内田・湯本の2人です。
夕張市は大学から車で約90分と近いので、2回にわけて行ってきました。

夕張市でフィールドワーク

1回目は10月19日(月)で、夕張市商工会議所の小網敏男専務理事による「夕張市の概況と産業振興の課題—夕張から見る、地域づくり、人づくり—」と題する講演を聞きました。小網氏は夕張市のお生まれで本学OBでもあります。質疑応答の後、「ユーパロの湯」の食堂で名物の「カレーそば」などを食べて、紅葉に燃える夕張を後にしました。
2回目は11月16日(月)から3泊4日の現地入りで、こちらがメインです。産業構造と産業振興を担当する「産業班」、財政再建下の生活問題を担当する「生活班」、地域社会の再生の方向性を探る「再生班」の3つのグループに分かれて、降り積もる雪のなかで市役所や商工会議所をはじめとする関係機関・団体・個人にインタビュー調査を実施しました。インタビュー調査の企画やアポ取りなどの調査企画の一切を学生が自主的に行なったこと、これが今年度のフィールドワークの重要な成果です。現地でのインタビュー調査を踏まえて、報告書を書き上げることが残された課題となります。第1次原稿はすでに2月中旬に提出されました。
夕張市でフィールドワーク


わたし自身は、夕張市でのフィールドワークは2回目になります。前回の2002年度の経験と比較してみると、際立った変化がありました。それは「行政主導のマチづくりと行政依存の市民生活」に対する反省の言葉があちこちで聞かれたことです。
財政破綻後も「国が何とかしてくれる」という市民の発言が報道されました。現在、年間約500件の救急車出動件数は財政破綻前には約9000件もありました。市営住宅家賃の累積滞納額は4億2500万円にも達しています。いずれも依存体質の端的な表れとみるべきではないでしょうか。
夕張市の再生にとって、長年にわたって培われ染みついた依存体質からの脱却が重要課題の1つとなることは間違いないと思います。中央政府と地方政府(北海道)からの支援はもちろん必要でしょう。しかし、それを実効あるものにするのは自律・自立した市民の存在です。
2009年、「夕張メロンと夕張川の水を守るネットワーク」という市民団体が立ち上がりました。産業廃棄物埋立地建設計画を知った人びとは、これに反対して行政を動かし、メロン農家や流域の一般市民を巻き込んだ社会運動を展開しています。こうした社会運動の持続的発展が夕張市の再生のカギを握ることは間違いないでしょう。【2010年2月23日】

(湯本 誠)

夕張市でフィールドワーク
  • 発行日: 2010.03.02