人間科学科
Department of Human Sciences
7月7日から13日までの1週間、道南の檜山郡上ノ国町において、考古学実習の現地調査実習を行いました。実習生4名、自主参加学生1名、教員2名が参加しました。調査地は、国が指定する史跡上ノ国館跡の中の花沢館跡、洲崎館跡です。上ノ国館跡は北海道では道南にのみ存在する室町時代の城館遺跡の一つであり、後の松前氏につながる武田・蠣崎氏の城館跡群です。上ノ国町教育委員会と本学との連携協定に基づき、町の主催する調査に参加させていただきました。
国指定史跡という一級の遺跡で、考古学の調査とともに文化財の保護制度・方法についても学ぶことができました。
町の研修施設「旧上ノ国ダム合宿所」に宿泊しました。食事は町内の飲食店に用意していただきました。施設にシャワーが備え付けられていますが、実習生は毎日調査終了後に遺跡の近くの花沢温泉で入浴しました。施設には食堂もあり、そこを毎日のミーティングや学習に利用しました。期間中、快適に過ごすことができました。
調査は朝8時半から始まります。教育委員会の学芸員の塚田さん、桜井さん作業員の方々と集合後、まずラジオ体操をして体をほぐします。調査地の花沢館跡は、丘陵上に位置するため毎日約50mの登りを数回往復します。また調査中は、中腰で作業することも多いため、筋肉をならして、けがをしないようにしておくことが必要です。また、熱中症の予防のため水分の補給も必要です。
遺跡では数か所の調査区に分かれて、掘削、遺物の検出、記録、測量などの作業を行い、考古学の調査法を具体的に体験しました。また、調査中に町内の高校生・小学生の体験発掘が実施されたため、その準備や生徒たちへの対応も行いました。11日には、本学が保有する地下レーダー探査機で洲崎館跡の堀と推定される部分の地下探査を実施し、地下遺構の様子を探りました。このような、大学の研究成果による調査協力も連携協定の目的の一つです。実習生も最新の調査に関する知識を得ることができました。また、公園整備が行われたの勝山館跡の見学も行い、調査終了後の復元整備や展示についても学ぶことができました。
12日は雨天のため野外作業ができなかったため、上ノ国館跡調査整備センターで出土品の洗浄・注記・接合などの整理作業を行い、出土品の保存管理方法について学びました。また、夕食は、お別れ会を教育委員会の皆さんが準備してくださり、宿舎で町内の海産物や農産物を味わうことができました。
実際の作業期間は5日間のみでしたが、内容の濃い実習となり、学生たちも多くを学ぶことができました。
実習中に、様々なご協力を賜り、暖かく見守っていただきました、上ノ国町の皆様には、厚くお礼申し上げます。